脳に関する診療内容を
ご紹介します。
脳に関する診療内容を
ご紹介します。
突然に脳の血管がつまってしまうことで起きる病気です。つまった血管には血液が流れなくなりますので、その先にある脳には酸素や栄養が行き届かず、そこの脳細胞が死んでしまうことになります。
症状はつまった血管の大きさや場所によって様々で、半身の麻痺や感覚障害・しゃべりにくい・意識が悪い・視野の半分が見えにくい・体のバランスがとれない、などの症状が挙げられます。
脳は酸素不足に弱い臓器ですので、血管がつまってしまうと、どんどんと脳組織が傷んでいきます。適切に診断してなるべく早く治療を受けていただくことが大切です。
脳梗塞には、大きく分けると、血管のつまり方の違いで次の3つのタイプがあります。
下記のような症状のある方は受診していただくことをお勧めします。
脳の奥にできる15㎜以下の脳梗塞です。太い血管から枝分かれした細い血管がつまることで起きます。ラクナとはラテン語で「小さなくぼみ」「小さな空洞」という意味です。
しかし、脳梗塞が小さいからといって油断はできません。脳の奥にある神経の通り道に起きることも多く、直撃されてしまうと手足の動きはかなり悪くなることがあります。
また、再発を繰り返すうちに脳血管性認知症や嚥下障害などの原因になることもあります。
ラクナ梗塞の最大の原因は、やはり高血圧症による動脈硬化とされています。糖尿病や慢性腎不全なども関わっています。
ラクナ梗塞を起こさないようにするには、生活習慣病の適切な治療が大事です。再発を予防するには抗血小板療法を行います。
脳の太い血管が、やはり動脈硬化を起こして、中が狭くなってしまうことで起きる病気です。
太い血管が動脈硬化を起こすと、血管の壁の中にコレステロールなどがたまってきます。すると、血管の壁が厚くなった分、血管の中の血液が通る道は狭くなります。狭くなると流れも悪くなります。
また、コレステロールなどがたまった部分の壁は、そこへ血栓という血の塊ができやすくなります。血栓が大きくなると、血流を完全にふさいでしまい、脳梗塞となります。
太い血管に起きることが多いため、このタイプの脳梗塞では広い範囲の脳が脳梗塞になってしまうことがよくあります。
例えば最も悪い状態ですと、首の部分の頸動脈でつまってしまう方もおり、片方の脳ほとんど全てが脳梗塞になってしまいます。
予防には、動脈硬化を起こさないように、生活習慣病の治療が大切です。
知らず知らずのうちに脳血管に動脈硬化が起きていないかどうか、脳ドックなどで定期的に検査を受けることもお勧めします。
お薬の治療で脳梗塞の予防が難しいほど動脈硬化や血管が細くなってしまった場合には、血流を改善させるための手術が望ましいことがあります。その際は適切に紹介いたします。
心臓でできた血栓(血の塊)が血液の流れに乗っていき、脳の血管につまることで起きる脳梗塞です。大きな血栓ができやすいため、つまってしまう血管も太いものが多く、脳梗塞も脳の広い範囲に起きてしまい、重い症状になることが多いのが特徴です。
健康な方で心臓に血栓ができることは、まずありませんので、ご安心ください。
血栓ができる原因の主なものは、心房細動という不整脈です。心房細動があれば循環器内科で適切に治療をしていただくことが重要です。その上で、抗凝固療法という血液をサラサラにする治療を行って、脳塞栓症を起こさないようにします。
人間ドックなどの際に定期的に心電図検査を行うことで心房細動を早期発見することができます。
早期に適切な治療を受けないと後遺症になってしまうことや、命に関わる可能性があります。
最近では、条件の合う方には血管のつまりを戻すための血栓溶解療法やカテーテル治療ができるようになっています。半身不随などの重い症状が出た場合でも、症状がかなり改善する方もおられます。
こうした治療は時間との勝負で、症状が出てから数時間以内のなるべく早い段階で行う必要があります。
ご相談いただき、こうした治療の適応と判断した場合には、治療可能な基幹病院へ迅速に連絡・紹介いたします。
脳梗塞は血液の塊である「血栓」ができてしまって、血管がつまることで起きる病気ですので、予防治療は血液を固まりにくくする、いわゆる「血液サラサラの薬」を使います。
普段、健康な人の血管の中を流れている血液は固まってしまうことはありません。逆にケガをして血が出た時には、血液は固まり、傷にはかさぶたができて出血は止まります。この「血管の中にあるときは固まらずに流れる」「血管の外に出た時はちゃんと固まる」という血液の仕組みは、体を守るためには極めて重要なものです。血管の中なのにかさぶたがどんどんできてしまっては、体中の血管がつまってしまいます。
逆に、血管が切れているのに、かさぶたができなければ、出血がいつまでも止まらないことになります。血液が適切な時にかさぶたを作る仕組み・不要な時はかさぶたを作らない仕組みは、健康な場合は自動的に働いてくれています。かさぶたの元となる血液中の成分には「血小板」と多くの「凝固因子」があります。また、血液を血管の中で固まらせないようにするためには、血管の壁の内側にコーティングがされています。
動脈硬化を起こした血管などでは、このコーティングが剥がれている部分ができていまいます。ここへ血小板がくっついてしまい、血管の中なのにかさぶたができていまいます。言い換えると、コーティングがなくなった部分は血管が切れてしまった部分と血液が勘違いして、かさぶたを作ろうとしてしまうのです。
こうした血小板を中心とした血栓のでき方は、主に動脈硬化を起こした動脈で起こります。ですから、動脈硬化が原因のラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞の再発予防治療には、血小板の働きを抑えて血を固まりにくくする「抗血小板療法」を行うことになります。
一方、凝固因子の働きが主で血栓ができるのは流れが遅い静脈などの中と言われています。脳梗塞では、心房細動などの不整脈が原因で起きる、脳塞栓症が当てはまります。不整脈のために脈と脈の間隔がかなり長くなってしまうと、心臓の中で血が淀んでしまう時間ができ、血栓ができやすくなってしまいます。ですから、心房細動の方の脳塞栓症予防には、凝固因子の働きを抑える治療法である「抗凝固療法」を選びます。
さらには、広い意味での脳梗塞予防としては、動脈硬化を進行させないよう生活習慣病の治療を行うことや、心房細動をお持ちの方はその治療を受けて脈をできるだけ安定させることも大切になります。