Dementia

もの忘れ・認知症

脳に関する診療内容を
ご紹介します。

脳に関する診療内容を
ご紹介します。

もの忘れ・認知症について

中高年の方はご自身やご家族の「もの忘れ」「認知症」についてご心配のことが多いかと思います。
日本は高齢化社会となっており、実際にご家族が認知症になっていて体験している、という方も増えてきております。
認知症とは脳の働きが低下して記憶や判断・思考などの認知機能が悪くなり、日常生活に問題が起きる状態のことをいいます。
原因では、アルツハイマー型認知症が最も有名で代表的な病気です。その他、レビー小体型認知症や脳血管性認知症などがあります。また、慢性硬膜下血腫という脳の表面に血がたまる病気や、脳腫瘍などの病気が原因で認知機能が落ちていることがあります。
こうした場合は適切に治療することで認知症が劇的に改善することがあります。

ど忘れと認知症の違い

主な症状にはひどい物忘れ・記憶障害があります。
例えば、食事で何を食べたのか思い出せない、というのは、いわゆる「ど忘れ」であり、どなたにも起こることで大きな心配はありません。
一方、認知症の方の場合は、食事をしたこと自体を覚えていないです。この記憶障害の一環として、物とられ妄想という症状があります。
例えば、認知症の方が財布を普段とは別の場所に置いてしまい、さらにそのことを忘れてしまいます。普段の場所に財布がないことに後で気が付くと、別の場所に置いたという記憶はありませんから、「盗まれた」「誰かに取られた」と言い出すことになります。
時には介護をしている家族を犯人にしてしまい、ご家族もストレスになってしまう、ということが起こります。判断力や理解力の低下、場所や時間が分からないために迷子になってしまうなども主な症状に挙げられます。こうしたことで、日常生活や社会生活がひとりでは難しくなり、介護が必要な状態となります。

当院でできること

  • 問診で生活習慣や家族構成などを把握させていただきます
  • 問診で日常生活にどの程度の問題がでているかを評価します
  • 認知機能検査を行います
  • 神経症状の診察をします
  • CTやMRIで脳の状態を評価するとともに、脳卒中や脳腫瘍が原因でないか調べます
  • 認知症の程度や周辺症状に応じたお薬を相談し処方します
  • ご自身の認知症リスクが心配な方には脳ドックでAI診断を行います
  • 認知症リスクをお持ちの方には生活習慣病の治療を提供します
  • 併設の歯科で歯周病治療・お口のメンテナンスで認知症予防に取り組みます

症状と治療法

認知症

こんな症状はありませんか?

  • ついさっき言ったことを忘れることが増えた
  • 同じことを何度も聞いてくる
  • 本やテレビの内容やストーリーを理解できない
  • やたらと怒りっぽくなった
  • お風呂に入っても自分の身体がうまく洗えない
  • 落ち着きがなくなり、うろつくことがある
  • お金の管理が出来ない、薬の服薬が出来ない
  • 同じものを毎日買ってきてしまう

正直なところ、アルツハイマー型認知症などの多くの認知症の病気は、根本的な治療は難しいです。ですが、適切な治療方法や対処方法をとることで、ご本人も、ご本人を介護する周りのご家族も、ストレスをなるべく少なくして毎日を過ごすことができるようになります。

治療方法について

お薬による治療

具体的には、従来からあるコリンエステラーゼ阻害薬というお薬での治療をまずは提案いたします。個人差はありますが、物忘れ症状が改善する・会話の受け答えが増えた・身の回りのことをする動作が良くなった、などの効果が期待できます。

漢方薬による治療

当院では漢方薬による治療も積極的に検討するようにしています。漢方薬による治療で、物忘れ以外の体の不調が改善し、間接的に脳の働きにも良い影響が出て、活気がでてくることがあります。

新薬 レカネマブによる治療

アルツハイマー型認知症では新薬が話題となっています。2023年秋に承認・冬に保険適応となったレカネマブです。病気の原因となる物質に作用するお薬で、大きく期待されています。しかし、このお薬も根治ができるものではなく、進行を遅らせるためのものです。また、全ての方に使えるお薬ではなく、早期の段階にだけ使用可能となっています。
早期のアルツハイマー型認知症と確認するための検査体制や高額な治療費なども課題となっています。多くの方々にとっては、従来通りの治療方法がやはり重要です。

歯周病治療・口腔ケアによる認知症予防治療

今は認知症ではない中高年の方々にとっては、これから認知症とならないための予防・健康づくりも大切です。アルツハイマー型認知症と歯周病が関連していることが示されつつあります。当院は歯科併設のクリニックとして、歯周病治療・口腔ケアでの認知症予防を提供いたします。

周辺症状
(BPSD: Behavior and Psychological Symptoms of Dementia)

こんな症状はありませんか?

  • 抑うつや意欲低下
  • 昼夜逆転などの睡眠障害
  • 興奮して突然怒り出す
  • 尿・便失禁などの排泄の問題
  • 徘徊

もの忘れの症状も困りますが、介護をしていく上でより大きな負担となるのは、周辺症状(BPSD: Behavior and Psychological Symptoms of Dementia)と言われる症状の方です。
抑うつや意欲低下、昼夜逆転などの睡眠障害、興奮して突然怒り出す、尿・便失禁などの排泄の問題、徘徊などが挙げられます。
ご家族のみでこうした問題に対応するには限界がありますので、特にご夫婦二人暮らしの場合などでは、お独りで抱え込まないようにすることが大切です。
認知症の介護はその日を頑張れば終わる、というものではありません。毎日続くものですから、長続きできるような工夫が必要です。

当院のサポートについて

当院では、周辺症状には安定剤や漢方薬などのお薬を適切に処方させていただくことで、ご本人と介護者の方が穏やかに過ごせるようにいたします。また、介護される方への周辺症状に対する対応の仕方の助言などを通して、認知症の方にうまく寄り添うためのお力添えをさせていただきます。
"認知症ちえのわnet"というサイトの利用をご紹介させていただくことがあります。全国の認知症でお困りのご家族や介護職員さんが、様々な症状への対応について体験を登録されており、うまくいった方法と失敗した方法が共有され、とても参考になります。
地域包括支援センターと連携して、介護サービス等の案内もいたします。


認知症ちえのわnetはこちら

参考

  • Fan Zeng, Zhou Wu, et al. Journal of Neurochemistry. 2021;158:724–736.