Headache & Migraine

頭痛

脳に関する診療内容を
ご紹介します。

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頭痛について

頭痛でお悩みの方は多いと思います。頭痛患者さんは全国で三千万人以上いると言われており、国民の4人に1人という割合で、ごくありふれた病気です。
頭痛は大きく分けて二種類あります。一つは脳腫瘍やくも膜下出血などの怖い病気が原因になっている頭痛です。もう一つは、そうした病気がなくても起こってくる頭痛です。

2つの頭痛

頭痛にはどんな種類があるのだろう?

1つ目の頭痛

脳腫瘍などが原因の頭痛

一つ目の頭痛は、例えば脳腫瘍ですと、時間が経てば腫瘍が大きくなってきてしまい、手足の麻痺やしびれなど、別の症状が出てきて悪化していくことが多いです。また、腫瘍は大きくなればなるほど、手術や治療が難しくなります。
ですから、こうした病気が原因の頭痛は、それを早期発見して、早めに適切な治療をすることが大事です。

2つ目の頭痛

片頭痛

二つ目の頭痛は、代表的には片頭痛などがこれにあたります。原因に怖い病気はないので、様子を見ていても、手足の麻痺などの症状が出てそれが後遺症になる、ということはありません。だからと言って、放置しておくのはお勧めできません。適切に診断をして、それぞれの方にあった治療方法を選んでいくことが大切です。そうして、家事・学業・仕事に復帰していただきたいと考えています。

頭痛くらいで… と悩まず、いつでもご相談ください

こうした二つ目の頭痛の問題点として、周囲の理解が得られない、ということがあるかもしれません。麻痺などの症状はないため、周りの人から見ると、健康体に見えます。
例えば職場では、本人は頭痛でしんどくて休憩していても、上司や同僚に仕事を怠けていると誤解されているケースがあります。ご本人も「頭痛くらいで病院に行くのは気が引ける…。」、と遠慮されているかもしれません。
頭痛・片頭痛は30歳台の働き盛りの女性に多く、家事・育児や仕事に強く影響します。経済損失は年間で数千億円から2兆円におよぶとも言われています。頭痛は紛れもない病気ですので、正しく対応することが大事です。
実は、院長自身も片頭痛持ちですので、頭痛の方のお気持ちはよく分かります。治療方法を見つけるお手伝いをさせていただきます。

治療の流れ

  • 詳しい問診で頭痛のパターンや生活習慣などを把握します
  • 神経症状について診察をします
  • CTやMRIで怖い病気が頭痛の原因でないかどうかを調べます
  • 検査で脳腫瘍や脳卒中と判明した場合は、連携している基幹病院へ紹介します
  • 片頭痛や肩こり頭痛の場合は、それぞれの方に合った治療法を提案します
  • 適切な治療を受けていただくことで、頭痛が再発することへの不安が軽くなります

症状と治療法

頭痛治療

こんな症状はありませんか?

  • ズキズキと脈打つような頭痛が発作的に起こる
  • 頭痛は数時間から2-3日続く
  • 吐き気が頭痛と一緒に出る
  • 頭痛があるときには、普段なら気にならないような音、光、においが気になる
  • 首や肩が凝る・張る
  • 前兆として、視界の中にキラキラ、ギラギラした光のような、ギザギザ模様のようなものが現れる

ズキズキと脈打つような頭痛が発作的に起こってきます。
典型的には頭の左右どちらか片方だけですが、両方の頭が痛くなる方も多くおられます。
頭痛は数時間から2-3日続きます。吐き気が頭痛と一緒に出ることや、吐き気がひどくて実際に吐いてしまうことも特徴の一つです。
また、頭痛があるときには、普段なら気にならないような音、光、においが気になって頭痛がひどくなる感じがする、という症状が出る方もいます。

片頭痛の大きな特徴に「閃輝暗点」という前触れ症状があります。
視界の中にキラキラ、ギラギラした光のような、ギザギザ模様(図A)のようなものが現れてきます。
それが邪魔になって目の前の物や人が良く見えない状態になります。この閃輝暗点が現れてから数十分後に、頭が痛くなってきます。

別の前触れ症状や、頭痛と一緒に出る症状として、首や肩が凝る・張るということもあります。このため、肩こり頭痛と間違って診断されてしまうケースがあるようです。

図A:閃輝暗点
Mayo Clinic. (2011, Mar 2). Migraine Visual Aura [Video]. YouTube. https://www.youtube.com/watch?v=qVFIcF9lyk8.

治療方法について

お薬による治療

治療はトリプタン製剤が主な特効薬です。
ロキソニン®(ロキソプロフェン)などの一般的な痛み止めで効果がある方もおられますので、その場合はそれらで治療をします。新たな特効薬としてレイボー®(ラスミジタン)というお薬も2022年6月から使用可能となっています。

生活習慣指導

片頭の発作を起こすきっかけに過労・睡眠不足・食生活の問題があることがあり、生活習慣の改善で頭痛の回数を減らすことも相談いたします。

片頭痛予防治療薬による予防治療

頭痛の回数・頻度が高い方、頭痛による日常生活にかなりの支障がでている方は、片頭痛の予防治療がお勧めとなります。

予防治療をすることで、下記のような効果が期待できます。

・片頭痛の発作回数が減る
・片頭痛発作が起きても、痛みの鋭さが和らぐ
・片頭痛の急性期治療薬(とん服の痛み止め)の治療効果が高まる
など

まずは飲み薬の予防薬を使用します。
痛くない日も含めて、毎日お飲みいただくことになります。
ゆっくりと効いてきますので、その効果を見極めるのには1~3ヶ月かかることがあります。予防薬を内服中でも、トリプタン製剤などの痛み止めのとん服は使用することができます。

2021年から登場した新しい片頭痛予防治療薬である、CGRP抗体関連薬(エムガルティ®、アジョビ®、アイモビーク®)が注目を集めています。
月1回の皮下注射が必要なお薬ですが、自己注射も可能なキットがあります。当院では自己注射の方法も丁寧に説明いたします。
片頭痛の発作が多い方、具体的には1ヶ月に4回以上の片頭痛が3ヶ月以上続いている方は、この治療の対象となる可能性がありますので、ご相談ください。

片頭痛の原因にはまだ不明な点も多いのですが、CGRPという物質が片頭痛の原因の一つということが分かってきました。このお薬でCGRPを捕まえ、片頭痛が起きるのを強力に抑えることができます。片頭痛の発作の回数をかなり減らし、発作が出た場合の痛みの程度も低くする効果が認められています。

上述の飲み薬の予防治療も効果はあるのですが、実際のところは成功率が5~7割と決して高くありません。効果が出にくかったり、効果が出るまでに月単位で時間がかかってしまったりするため、治療を断念してしまうケースも見られます。

一方で、CGRP抗体関連薬、例えばエムガルティ®、は治療効果が高く即効性に優れ、多くの方が1ヶ月目から頭痛日数が半減します。頭痛回数が少しでも減る・程度が少しでも和らぐなどの何らかの効果が得られた方も含めると治療成功率は9割に達したとのデータもあります。
とても効果が高い治療方法ですが、注意点としては、現状の日本の保険医療の仕組み上、CGRP抗体関連薬を予防治療の最初のお薬として使用することはできません。まずは何らかの飲み薬の予防薬で治療に取り組んでからとなります。詳しくはご相談ください。
お薬代が3割負担の方で1ヶ月あたり13,000円前後ですが、頭痛の回数が多い方や、生活への影響が強い方は、それに見合う価値が十分にあるお薬です。

また、お薬代も保険証の種類によっては安くなることがあります。自己注射であれば「付加給付金制度」を利用しての補助が受けられ、1ヶ月あたり約8,000円でこの治療を受けられることがあります。
「付加給付金制度」について詳しくはご相談ください。

緊張型頭痛

こんな症状はありませんか?

  • 首や肩の凝り
  • 締めつけられるような頭痛

締めつけられるような頭痛が典型的です。
片頭痛と違って、吐き気を伴うことはありません。片頭痛の方は動くと頭痛が悪化するので、静かな部屋で寝込んでしまうイメージですが、緊張頭痛の方は動いても頭痛が悪化することはありません。これらの特徴から診断をつけていきます。

病態や原因はまだよくわかっていませんが、首や肩の凝り・筋肉の血行不良が一因となって痛みを感じやすくなっている状態と言われています。

パソコンでのお仕事やスマートフォンの操作などで首や肩の凝りから、この頭痛をお持ちの方が増えています。新型コロナウイルスは2023年5月から5類に移行しましたが、近年ではリモートワーク等でパソコン・インターネット使用の機会が増加し、運動不足も加わって首・肩こりに拍車がかかりました。

治療方法について

お薬による治療

治療はロキソニン(ロキソプロフェン)などの一般的な痛み止めである、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を処方させていただくことが多いです。

漢方薬治療

当院では漢方薬治療にも取り組んでおりますので、痛み止めのお薬が苦手という方には、漢方薬をご提案させていただくことも可能です。

生活習慣指導

運動不足や首・肩の凝りが原因ですので、ご一緒に生活習慣を見直すことや、体操の案内などもさせていただきます。

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)
(MOH: medication-overuse headache)

こんな症状はありませんか?

  • 痛み止めや片頭痛のお薬を飲み過ぎてしまう
  • 1ヶ月あたりで10日以上、頭痛薬や鎮痛薬を内服してしまう

痛み止めや片頭痛のお薬を飲み過ぎてしまうことで、逆に頭痛が悪化してしまう状態のことです。具体的には1ヶ月あたりで10日以上、頭痛薬や鎮痛薬を内服してしまう方は、この頭痛になってしまっている可能性があります。

治療方法について

お薬の減薬・断薬

お薬を減すこと、もしくはやめることでこの頭痛は治まります。しかし、片頭痛や緊張型頭痛などをお持ちの方は、急にお薬をやめることは難しく、ご本人も不安があります。お薬の適切な使い方や、もとの頭痛を抑えるための生活指導などをさせていただきながら、ゆっくりとお薬を減らす調整をいたします。漢方薬の併用で頭痛薬・鎮痛薬の回数を減らすことができる場合もあります。