Ohisama Note

おひさまノート

睡眠時無呼吸症候群 2025.06.27

睡眠時無呼吸症候群の治療にはどんなものがある?

目次

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間の呼吸が不十分になってしまったり、一時的に呼吸が止まってしまったりする病気のことです。

睡眠時無呼吸症候群を発症すると、夜間の息苦しさや日中の眠気、集中力の低下につながります。

放置すると生活の質が低下しさまざまな合併症を引き起こすため、「もしかしたら睡眠時無呼吸症候群かも」と思ったらまずは医療機関を受診しましょう。

睡眠時無呼吸症候群の治療として、主に次の4つがあります。

  • マウスピース治療
  • 鼻やのどの処置、手術
  • 生活習慣の改善
  • CPAP治療

この記事では睡眠時無呼吸症候群の治療について解説します。

当院ではマウスピース治療やCPAP治療に対応しています。治療をお考えの方は、まずはお気軽にご相談ください。

マウスピース治療(OA療法)

OA(oral appliance)療法とも言われています。マウスピースにより顎の位置を調整する治療法です。

下顎を前にずらすことで舌根(下の根本部分)が落ち込んでも気道が塞がりにくくなり、眠っている間の呼吸を促します。

次のような患者さんにマウスピース治療が行われます(※1)。

  • 軽〜中等度の閉塞性無呼吸症候群
  • CPAP治療が使用できない

マウスピース治療には、生活の質を改善する効果、血圧など一部の心血管疾患リスク因子を改善する効果を期待できます。

治療には口の形に合ったマウスピースを作製する必要があります。睡眠時無呼吸症候群の治療実績がある歯科医師に相談した上で治療を受けましょう。

当院の歯科でもマウスピース治療を承っています。

副作用として次のような症状があります(※1)。

  • 唾液が増える、または減る
  • 歯や歯肉の痛み、違和感
  • 起床時の嚙み合わせ異常
  • 筋、顎関節の違和感

副作用のリスクはあるものの、マウスピースは睡眠時無呼吸症候群を改善するために有力な治療法です。

マウスピースを使っていて気になることがあれば、自己判断で中止せず歯科医師に相談しましょう。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

鼻やのどの処置、手術

閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、鼻中隔湾曲や咽頭・喉頭の扁桃腺の構造が原因で気道が塞がってしまう症例も見られます。

マウスピース治療やCPAP治療で改善が見込めない場合、手術により鼻腔や咽頭の形を整えて気道を確保すると症状が改善できる可能性があります。

鼻やのどの処置、手術は次のような方に推奨される治療法です(※1)。

  • CPAP治療、マウスピース治療ができない
  • 上気道疾患や顔面形態異常がある
  • 手術による効果が副作用を上回ると考えられる

手術は耳鼻咽喉科で対応しています。

肥満には当てはまらないのに睡眠時無呼吸症候群を発症した場合、鼻やのどの構造が原因かもしれません。一度、耳鼻咽喉科で診てもらうことも検討しましょう。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

生活習慣の改善

肥満の患者さんは、マウスピース治療やCPAP治療と並行して生活習慣を改善して減量すると症状が改善します。

肥満(特に内臓型肥満)、高血圧症、糖尿病は睡眠時無呼吸症候群と合併しやすい病気です。また、飲酒や喫煙も発症リスクを高める要因であることがわかっています。

生活習慣で気をつけたいポイントをまとめました。

  • アルコールを控える
  • 禁煙する
  • 食生活を見直し、食べ過ぎを防ぐ
  • 有酸素運動、筋トレを取り入れる

生活習慣を改善して体重が減少すると、上気道の負担が減るため無呼吸が軽減します。減量は肥満を解消し、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病を改善するためにも有効です。

CPAP治療

CPAP治療(持続陽圧呼吸療法、continuous positive airway pressure)は閉塞性睡眠時無呼吸症候群に適用があり、専用の機械を使って気道に圧力をかけ、空気の通り道を確保する治療法です。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、舌根(舌の根本部分)が落ち込んで気道を塞ぎ、呼吸を妨げます。

CPAP治療では、夜眠るときに専用のマスクを被ります。マスクから圧力がかかった空気が気道に送り込まれるため、舌根が落ち込んで気道を塞ぐのを防ぐ治療法です。

日中の眠気などの症状が強い閉塞性睡眠時無呼吸症候群の人、および中〜重症の症例に対し、CPAP治療は第一選択の治療法として推奨されています。

CPAP治療により、次の効果が期待できます(※1)。

  • 血圧を下げる
  • 生活の質を改善する
  • 動脈硬化などの心血管の病気に関するパラメーターが改善する
  • 脳卒中や心筋梗塞などの心血管系の疾患が発生するリスクを抑える
  • 毎晩4時間以上の使用で、日中の眠気が改善する
  • 交通事故のリスクを低下させる

CPAP治療には次の副作用が知られています(※1)。

  • インターフェースによる違和感
  • 鼻咽頭の乾燥
  • 皮膚や目の違和感

CPAP治療は、比較的安心して受けられる治療法です。

内部リンク:CPAP治療とは?睡眠時無呼吸症候群に使われる治療法

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

睡眠時無呼吸症候群を治療せず、放置するとどうなる?

睡眠時無呼吸症候群を放置すると夜間の息苦しさや日中の眠気、集中力の低下が続くため、生活の質が低下してしまいます。眠気により交通事故などの事故を起こすリスクも上昇するため、放置するのは危険です。

また、睡眠時無呼吸症候群には次のような合併症のリスクがあります。

  • 高血圧症
  • 糖尿病
  • 心血管疾患
  • 脳血管疾患

放置するとさまざまな合併症が起こるため、「睡眠時無呼吸症候群かも」と思ったら早めに医療機関を受診しましょう。生活習慣の改善やマウスピース治療、CPAP治療は、合併症の発症リスクを軽減させる効果を期待できます。

内部リンク:睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなる?合併症リスクについて解説

睡眠時無呼吸症候群を治すために、自分でできる対策は?

睡眠時無呼吸症候群を自分で改善するためには、生活習慣の見直しが大切です。

肥満や高血圧症、糖尿病の人は睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいため、食事や運動を見直して減量や血糖値、血圧のコントロールを行いましょう。

ただし、生活習慣を見直してから睡眠時無呼吸症候群が改善するまでには時間がかかります。CPAP治療やマウスピース治療は即効性も高く、睡眠の質を改善します。

まずは医療機関で治療を受けながら、生活習慣を改善して長期的に症状をコントロールしましょう。

当院でも睡眠時無呼吸症候群の治療を承っています

今回は睡眠時無呼吸症候群の治療法について解説しました。

適切な治療は生活の質を改善し、合併症のリスクを下げる効果を期待できます。「もしかしたら睡眠時無呼吸症候群かも」と思ったら、まずは医療機関を受診しましょう。

当院でもCPAP治療、マウスピース治療などの治療に対応しています。専用の機械を使った検査も可能です。

いびきや夜間の息苦しさにお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

医師が診察や検査を行った上で、一人ひとりに最適な治療をご提案します。

イラスト:帝人ヘルスケア株式会社さま提供