Ohisama Note

おひさまノート

睡眠時無呼吸症候群 2025.06.27

睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなる?合併症リスクについて解説

目次

睡眠時無呼吸症候群を放置すると、合併症の発症リスクや日中の眠気、集中力の低下につながります。

「もしかしたら睡眠時無呼吸症候群かも」と思ったら、早めに医療機関を受診して治療を受けましょう。

当院の脳神経外科でも睡眠時無呼吸症候群の治療を受け付けています。歯科も併設しているため、CPAP治療のほかマウスピース治療もスムーズにご対応が可能です。

この記事では睡眠時無呼吸症候群を放置した際のリスクと治療法について解説します。

「家族にいびきを指摘されているけど、病院にはまだ行っていない」
「睡眠時無呼吸症候群と診断されたけど、治療せず放置している」

このような方は、ぜひ最後までお読みください。

睡眠時無呼吸症候群を放置すると、合併症の危険も

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に呼吸が不十分になったり一時的に止まったりしてしまう病気のことです。

睡眠時無呼吸症候群を発症すると、寝ている間には体へ十分な酸素が届かないため、脳や心臓に負担がかかり脳血管疾患、心臓血管疾患などの合併症を引き起こすリスクがあります。

糖尿病や高血圧症など、生活習慣病との関連も指摘されています。

また、日中の眠気や集中力の低下により交通事故などさまざまな事故の原因となる可能性もあるため、放置するのは危険です。

睡眠時無呼吸症候群の主な症状は、以下の通りです(※1)。

  • いびきをかく
  • 日中に眠気、だるさを感じる
  • 寝ている間に息苦しさで目が覚める
  • 眠れない
  • 寝ている間に呼吸が止まっていることを他の人から指摘された
  • 寝汗をよくかく
  • 夜中にトイレのため何度も起きてしまう
  • 朝の起床後に頭が痛いことがある

特に「寝ている間に息苦しさで目が覚める」「寝ている間に呼吸が止まっていることを他の人から指摘された」は、睡眠時無呼吸症候群に顕著な症状です。

これらの症状が見られたら、放置せず医療機関を受診しましょう。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

こちらの記事もおすすめ:睡眠時無呼吸症候群とは?原因や症状、治療について解説

睡眠時無呼吸症候群の主な合併症

睡眠時無呼吸症候群の合併症として、代表的なものをまとめました。

  • 高血圧症
  • 糖尿病
  • 心血管疾患
  • 脳血管疾患
  • その他、交通事故などのリスクも上昇

それぞれ具体的に解説します。

高血圧症

睡眠時無呼吸症候群と高血圧症は合併しやすい病気です。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群を持つ患者さんのうち、約半分が高血圧症も合併していることがわかっています。合併している高血圧症は夜間や早朝に血圧が上がりやすく、降圧薬(血圧を下げる薬)で血圧が下がりにくい傾向があります。

高血圧症も血管に負担をかけて動脈効果を引き起こし、多くの合併症を引き起こすリスクがあるため、治療が必要な病気です。CPAP治療は血圧を下げる効果が示されており、減量や降圧薬と相乗的に血圧を下げる効果を期待できます(※1)。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

糖尿病

閉塞性睡眠時無呼吸症候群と糖尿病はどちらも肥満、中高年に発症しやすく、相互に合併しやすい病気です。海外の研究では2型糖尿病の患者さんのうち、65%に閉塞性睡眠時無呼吸症候群が見られることがわかっています(※1)。

糖尿病は血液中のグルコース(糖分)が増える病気で、高すぎる糖分は血管を傷つけることになり、全身の合併症をひき起こします(※2)。睡眠時無呼吸症候群と同様、糖尿病を改善するには生活習慣を見直しや、肥満を解消によって、血糖値のコントロールが大切です。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020
(※2 参考)糖尿病とは|糖尿病情報センター

心血管疾患

睡眠時無呼吸症候群は、心不全や心筋梗塞など心血管疾患の発症に関与していることがわかっています(※1)。

睡眠時無呼吸症候群になると夜間の呼吸が不十分になり、全身に十分な酸素が巡りません。加えて夜間に何度も目が覚めることから、交感神経が活発になり心臓に負担がかかります。

CPAP治療は気道を確保して体内に酸素を送り込むため、心血管疾患に関する数値を改善して発症リスクを軽減する効果を期待できます。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

脳血管疾患

重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群を持つ人が脳梗塞や脳出血を発症するリスクは、健康な人の3.3倍になると言われています(※1)。

睡眠時無呼吸症候群は高血圧症や糖尿病と合併しやすく動脈硬化にもつながるため、脳の血管が詰まってしまったり(脳梗塞)、破れてしまったりすると(脳出血)脳血管疾患を発症します。

脳血管疾患は突然死のリスクもあり、発症した場合は数時間以内に治療が必要です。また、一命をとりとめても半身まひなどの後遺症が残る可能性もあります。

(※1 参考)Obstructive Sleep Apnea as a Risk Factor for Stroke and Death|The New England Journal of Medicine

その他、交通事故などのリスクも上昇

睡眠時無呼吸症候群を発症すると眠っている間に十分な呼吸ができなくなるため、睡眠の質が低下します。結果として日中の眠気、集中力の低下につながり、交通事故など事故の原因となる場合があります。

特に仕事や日常生活で運転や機械の操作を行う方が、睡眠時無呼吸症候群を放置するのは危険です。

CPAP治療は睡眠中に肺へ十分な酸素を送り込むため、睡眠時無呼吸症候群の事故リスクを低下させる効果を期待できます(※1)。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

睡眠時無呼吸症候群を治療する方法

睡眠時無呼吸症候群を治療する方法として、主に次の4つがあります。

  • マウスピース治療(OA療法)
  • 鼻やのどの処置、手術
  • 生活習慣の改善
  • CPAP治療

当院ではマウスピース治療、CPAP治療に対応しています。

それぞれの治療法について解説します。

こちらもおすすめ:睡眠時無呼吸症候群の治療にはどんなものがある?

マウスピース治療(OA療法)

マウスピースにより、顎の位置を調整する治療法です。下顎を前にずらすことで舌根(下の根本部分)が落ち込んでも気道が塞がりにくくなります。軽〜中等度の症状で、CPAP治療が使用できない場合に対象になることがあります。

治療には口の形に合ったマウスピースを作製する必要があるため、睡眠時無呼吸症候群の治療実績がある歯科医師に相談した上で治療を受けましょう。

当院の歯科でも、睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療を承っています。

鼻やのどの処置、手術

マウスピース治療やCPAP治療で改善が見込めない場合、手術により鼻やのどの形状を変えて気道を確保すると症状が改善できる可能性があります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、鼻中隔湾曲や咽頭・喉頭の扁桃腺の構造が原因で気道が塞がってしまう症例も見られます。そのような場合には手術が有効です。

肥満には当てはまらないのに閉塞性睡眠時無呼吸症候群を発症している場合、のどや鼻の構造に原因が見つかる場合もあります。鼻やのどの処置、手術は耳鼻咽喉科で対応しています。

生活習慣の改善

肥満は睡眠時無呼吸症候群を発症しやすい最大の要因として知られており、特に内臓型肥満の人は発症しやすいことがわかっています。また高血圧や糖尿病とも合併しやすいことから、睡眠時無呼吸症候群を改善するためには生活習慣の見直しが大切です。

食事内容を見直し、運動をこまめに行いましょう。減量により無呼吸の軽減や生活の質の改善、心血管疾患のリスク軽減が期待できます。

生活習慣を見直してから症状が改善するまでには時間がかかります。マウスピース治療やCPAP治療により、症状をコントロールしながら生活習慣を改善すると効率よく治療を進められるでしょう。

CPAP治療

CPAP治療とは専用のマスクで空気を送り込み、気道に圧力をかけて気道を確保する治療法です。中程度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群を持つ方が、この治療の対象になります。

CPAP治療により動脈硬化などの心血管の病気に関するパラメーターが改善し、脳卒中や心筋梗塞などの心血管系の疾患が発生するリスクを抑える効果が期待できます(※1)。

肥満により閉塞性睡眠時無呼吸症候群を発症していても、まずはCPAP治療を始めた上で原因を改善する方法がおすすめです。

当院でもCPAP治療に対応しています。

内部リンク:CPAP治療とは?睡眠時無呼吸症候群に使われる治療法

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

当院でも睡眠時無呼吸症候群の治療に対応しています

今回は睡眠時無呼吸症候群を放置した際のリスクについて解説しました。

さまざまな合併症や事故の原因になるため、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合はなるべく早めに医療機関を受診しましょう。

当院でもCPAP治療、マウスピース治療など睡眠時無呼吸症候群の治療に対応しています。専用の機械を使った検査も可能です。

いびきや夜間の息苦しさにお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

医師が診察や検査を行った上で、一人ひとりに最適な治療をご提案します。

イラスト:帝人ヘルスケア株式会社さま提供