Ohisama Note

おひさまノート

歯について 2025.08.30

マウスピース矯正で前歯だけの治療は可能?

目次

前歯だけのマウスピース矯正とは

マウスピース矯正のアライナーの画像

前歯の歯並びが気になるけれど、全体の歯列矯正は費用や期間の面で躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか?お口の中の状態によっては、前歯だけを部分的にマウスピースで矯正することが可能になるかもしれません。

本記事では、前歯だけの部分的マウスピース矯正の適応症例から治療の流れまでを詳しく解説しております。

前歯はどこからどこまで?(大人の歯)

上下歯列の図(大臼歯・小臼歯・前歯の範囲についての説明付き)

大人の歯は、合計32本(親知らずがない場合28本)あります。

前歯とは、真ん中の歯から数えて3番目の「犬歯」までを指し、上下左右で合計12本の歯を対象としています。

https://www.dental-sozai.com/(歯科素材.comより)

マウスピース矯正治療について

歯科医院での診察の様子

マウスピース矯正の特徴

治療の流れ

  1. 問診票記入・初診
    患者様の問診票の内容に沿って医療面接・口腔内診査
    →口腔内に問題が無いか(虫歯・歯周疾患など)を調べます。
  2. 精密検査
    口腔内スキャナ―(IOS)・レントゲン写真や口腔内・顔貌の撮影(CT・パノラマX線写真・セファロなど)
    →歯並び・噛み合わせ・顎の骨の状態、顔面の左右対称性を確認します。
  3. 診断・治療計画説明
    歯科医師が精密検査で得た資料をもとに、診断と矯正治療の方針を立案
    →患者様が後日来院された際に、検査結果の説明、治療計画の提示、治療・費用・期間の説明が行われます。
  4. マウスピース作成・治療開始(原則的に歯周治療を優先)
    マウスピース矯正装置の作成を行います。
  5. 経過観察
    定期的なメンテナンス・健診
    →治療進行状況の確認、新しいマウスピースの受け渡し、口腔ケア指導・歯周組織検査、等を行います。
  6. 矯正治療完了・保定期間
    保定装置(リテーナー)の装着・定期メンテナンス
    →後戻りの防止と口腔衛生状態を管理します。
  7. 経過観察・定期メンテナンス
    保定が終了した後も、定期的に歯科医院にて経過と口腔衛生状態を管理します。

前歯だけの矯正治療を行うメリット

マウスピース矯正における前歯だけの治療は、「部分矯正」と呼ばれる治療方法です。
透明なマウスピース矯正を使用して、気になる前歯部分のみを対象に歯列矯正を行います。

マウスピース矯正画像:メリット
  • 審美性
     透明で目立たない
     取り外し可能
     金属アレルギーの心配がない
  • 治療期間・治療費用
     全体矯正の費用より安い傾向がある
     短期間で治療完了の可能性がある
  • 清掃性
     歯磨きしやすい
     発音への影響が少ない

前歯だけの矯正治療を行うデメリット

  • 適応症例・治療効果の限界
     □ 軽度の症例のみ
     □ 骨格的な問題には対応不可
     □ 抜歯症例・重症な不正咬合には不向き
     □ 歯根の移動は困難
     □ 審美的な改善に留まる可能性があり、機能的に不十分なかみ合わせになる可能性がある
  • 患者様の制約・負担
     □ 1日20時間以上マウスピース装着が必要
     □ 自己管理(器具洗浄・口腔ケア)が必須
     □ 装着を忘れると治療期間が延長する
  • 長期的な観点でのリスク
     □ 後戻りのリスク
     □ 将来的に全体矯正が必要になる可能性
     □ 噛み合わせのバランスへの影響


前歯だけの矯正治療の可否

患者さんが前歯のみのマウスピース矯正を希望された場合、必ずしも希望通りの治療方針が適応されるわけではありません。歯科医師により、患者さんの口腔内の状態や骨格、歯の並び具合など、様々な情報を精査してから治療方針を検討し、そのうえでマウスピース矯正が可能かどうかを判断します。

前歯のみのマウスピース矯正の診断を行う画像

部分的マウスピース矯正できる可能性が高い症例

  • 軽度の叢生
  • すきっ歯

部分的マウスピース矯正が困難な症例

  • 軽度の叢生・すきっ歯以外の不正咬合
  • 骨格の問題が原因で矯正治療をする場合
  • 噛み合わせに問題がある場合(→全体矯正が適応の場合がある)

まとめ(結論)

歯科関連の画像

前歯の歯並びでお悩みの方は、まず歯科医院で詳細な検査と正確な診断を受けることをお勧めします。マウスピース矯正での部分矯正が適応であるかどうかは個人の症例により大きく異なります。また、原則 部分矯正は、かみ合わせの機能の改善ができない事が多いです。

精密検査とシミュレーションを通して、治療の可能性・期間・費用について詳細に説明を受け、十分に納得して自己管理やメンテナンスのための定期的な来院の必要性や装置着用時間などの情報を理解した上で治療を開始することが満足できる結果につながります。歯並びの改善は見た目のみならず、口腔衛生状態の向上や自信の回復にもつながります。気になることがあれば、お気軽におひさま歯科にご相談ください。