マウスピース矯正は美しい歯並びを実現する優れた治療法です。しかし、適切な管理を怠ると虫歯が発生するリスクがあります。
美しい歯並びを手に入れるためには、治療前に患者様ご本人に虫歯のリスクや口腔衛生管理の重要性を段階的なご理解をしていただくことが必要不可欠です。
この記事では、マウスピース矯正と虫歯の関係性について詳しく説明しています。マウスピース矯正と虫歯の関係性について段階的に理解し、適切な管理を行いましょう。
マウスピース矯正は、歯列全体を覆う薄く透明な合成樹脂系素材の矯正装置(アライナー)を用いた歯列矯正治療です。固定式矯正装置であるワイヤー矯正とは異なる特徴を持ちます。
マウスピース矯正の特徴
マウスピース矯正の基本的な仕組み
患者様の歯型をもとに3Dシミュレーションで歯の移動を計画し、
段階的に形状の異なる複数のアライナーを製作します。
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通常1〜2週間ごとに新しいアライナーに交換することで、
徐々に理想的な歯並びへと導きます。
不正咬合と虫歯は表裏一体で、相互に増悪作用を持ちます。
不正咬合とは…
顎や顔面、歯の形態的・機能的異常により正常な咬合の範囲から逸脱した状態の事です。
不正咬合が虫歯リスクを高める理由
口腔清掃が困難 | :叢生(歯が前後に重なりデコボコした歯並び)や歯の隙間の異常があると、 歯ブラシやデンタルフロスが届きにくく、プラーク(歯垢)が蓄積しやすく なります。 |
食物残渣の停滞 | :不正咬合によって咬み合わせが悪い部分では、食べ物のカスが停滞しやすく、 細菌の栄養源となってしまいます。これにより虫歯の原因菌の増殖を促進します。 |
唾液の循環不良 | :歯並びが悪いと唾液の自然な流れが阻害され、口腔内の自浄作用が低下します。 唾液には虫歯を抑制する働きがあるため、虫歯リスクを高めます。 |
虫歯が不正咬合を促進させる理由
歯の接触状態の変化 | :虫歯により歯質の欠損や歯の喪失が起こると、隣り合う歯や向かい合う 歯との接触関係が変化し、歯並びを乱す可能性があります。 |
基本的に、矯正治療を行う前に虫歯を治療する必要があります。
以下の場合治療方針が変則的になることがあります。
※IPR(ディスキング):やすりのような器具を歯と歯の間に挿入して、歯の横幅を少量切削すること
マウスピース矯正を開始する前に虫歯治療を完了することには、重要な理由があります。
虫歯の進行度は、C0〜C4の5段階に分類されます。この進行度によって対応が異なります。
【矯正治療を行える可能性がある虫歯】
C0(初期虫歯:まだ穴が開いていない、エナメル質の脱灰が始まった状態)
【症状】自覚症状(痛みなど)はない
【治療】フッ素塗布や食生活改善
【矯正治療前に治療を行うべき虫歯】
C1(エナメル質の虫歯:エナメル質に小さな穴が開いた状態)
【症状】痛みを感じることは少ない
【治療】フッ素塗布+小さな詰め物で歯を保護
C2(象牙質の虫歯)
【症状】しみる症状が出現
【治療】詰め物による保存的な修復
C3(神経に達する虫歯)
【症状】激しい痛みを伴う場合が多い
【治療】根管治療(神経の治療)が必要
C4(歯根のみ残存:歯冠部分が大きく破壊された状態)
【症状】全身症状(発熱など)が出る場合がある
【治療】抜歯や大規模な修復治療が必要
(引用元:https://www.shika-sozai.com/illust75/index.html)
矯正治療中に適切な管理を怠ると虫歯が発生する可能性があります。虫歯を発症した場合、修復処置のために矯正を中断したり、場合によっては中止せざるを得ないこともあります。
したがって、マウスピース矯正中は、通常とは異なる口腔環境となるため、どのような変化や虫歯の原因があるのかを理解して適切に対応することが重要です。
唾液には様々な役割があります。
矯正器具装着中の異物感や器具による影響で
以下のような唾液の変化が見られます。
マウスピース矯正中は、清掃不足により細菌量が増加しやすい環境となります。
マウスピース矯正中の虫歯予防には、従来の口腔ケアに加えて特別な配慮が必要です。
✓アライナーの清掃
✓食事管理
✓早期発見・治療のために定期的な歯科医院への検診
✓フッ化物の応用
✓生活習慣の改善
マウスピース矯正は適切な管理により、虫歯リスクを抑えながら理想的な歯並びを実現できる優れた治療法です。歯科医師と密に連携し、個人の状況に応じたケア方法を実践することで、安全で効果的な治療を受けることができます。
マウスピース矯正による歯並びの改善は、将来的・長期的な虫歯予防に大きく貢献すると予想されます。美しい歯並びと健康な歯は、生涯にわたってあなたの笑顔を支える大切な財産です。正しい知識と継続的なケアにより、理想的な口腔環境を維持していきましょう。
おひさま歯科はいつでも患者様をお待ちしております。