Ohisama Note

おひさまノート

矯正歯科 2026.03.14

矯正歯科で治せる歯並びとは?

目次

矯正歯科で治せる歯並びについて

「矯正治療で自分/自分の子どもの歯並びは綺麗になるのかな?」このような疑問を抱いている患者様や保護者の方は多くいらっしゃいます。本記事では、矯正治療の対象となる歯の状態や年齢別の矯正治療における違いなど、詳しくご紹介しております。

矯正歯科とは

矯正歯科について

「矯正歯科」とは、歯に矯正力を加えること、歯並びや上下顎の位置関係、噛み合わせを整えることで、口腔全体の機能性・審美性の改善をすることを目的とした診療科です。

矯正歯科治療では、理想の歯並びに近づけるために綿密な計画と矯正方法の選択を行いますが、見た目の改善のみならず、歯周病や虫歯のリスク低減、発音・構音・咀嚼機能の向上、顔貌のバランス調整、QOL向上、といった様々なメリットをもたらします。

年齢別の矯正治療

子どもの矯正(第一期・第二期治療)

子どもの矯正歯科について

成長期の子どもは、以下のような特徴があり、変化が著しい状態にあります。

  • 乳歯から永久歯に生え変わる
  • 骨の成長が活発化、顎の骨格的な状態が定まっていない
  • 歯列が広がる

このように変化が著しい時期に行う子どもの矯正治療は、成人と比較すると治療方法も異なりますし、期間も長くなる傾向にあります。

【第一期治療:準備段階】

✓ 骨の成長段階を活用
:矯正装置を用いて、上下顎の成長の促進・抑制

✓ 混合歯列の管理
:矯正装置を用いて、抜けていく子どもの歯と生えてくる永久歯を正しい位置関係に誘導

【第二期治療:本格矯正】

✓ 成長が落ち着いた後
:顎・歯列の状態がほぼ完成しているため、歯に矯正力をかけて歯を移動させたり、場合によっては歯を抜いて歯の移動スペースを確保したりします。

成人矯正の特徴

成人の矯正歯科について

骨の成長が止まって骨格的に安定し、永久歯も生えそろった成人には、主に矯正装置を利用して歯を移動させることで矯正治療を行います。骨格的な問題が大きく矯正装置での治療が困難な場合は外科的矯正治療の適用になる場合があります。

不正咬合とは

不正咬合について

不正咬合とは、歯・歯周組織・顎顔面領域の形態/機能異常が原因となって正常な咬合状態から逸脱している状態の総称です。

不正咬合は、見た目だけでなく、様々な健康上の問題を引き起こす可能性があります。まず、食べ物の咀嚼や唾液の流動を障害することで自浄作用を低下させたり、歯磨きが行き届きにくい口腔環境になることで虫歯や歯周病、更には歯の喪失のリスクを高めたり、様々な悪影響を及ぼす可能性を持っています。

具体例として以下のようなものがあります。

  • 上顎前突(出っ歯)
  • 下顎前突(受け口)
  • 叢生
  • 開咬
  • 過蓋咬合
  • 交叉咬合
  • 正中離開(すきっ歯)

矯正歯科で治療代表的な歯並び

1.上顎前突

a)症状

上顎前突の横から見たイラスト

いわゆる「出っ歯」と呼ばれる状態です。上の前歯が下の前歯に対して前方に突き出ている、または上顎全体が下顎に対して前方に位置しています。

b)原因

原因は、骨格性と歯性の要因が挙げられます。

骨格性要因

:上顎骨の過成長・下顎骨の低成長など、骨格的な遺伝要素が関与します。

歯性要因

:幼少期の指しゃぶりや口呼吸、爪噛みなどの口腔習癖により上の前歯が過度に唇側傾斜したり下の前歯が舌側傾斜したりします。

c)治療方法

歯性要因による上顎前突:

矯正装置による動的矯正力を利用して、歯の傾斜や位置を修正する矯正治療が行われます。
成長期の子どもの場合、骨の成長を利用した治療方法を採用する場合もあります。

骨格性要因による上顎前突:

重度の骨格性上顎前突の場合、外科的矯正治療が必要になる場合があります。
※外科的矯正治療とは、全身麻酔下で顎の骨を切り、適切な咬合状態になるよう上下顎の位置を調整する手術の事です。

2.下顎前突(反対咬合)

a)症状

下顎前突のイラスト(正面)

いわゆる「受け口、反対咬合」と呼ばれる状態です。下の前歯が上の前歯より前に出ています。横から見ると、正常より下顎が上顎に対して突き出ています。

b)原因

上顎前突と同様です。

骨格性要因

:下顎骨が大きい、上顎骨が小さい、あるいは両方の要素が組み合わさって生じます。

歯性要因

:口呼吸や舌で前歯を押す「舌突出癖」、上唇を噛む「噛唇癖」等の口腔習癖により下の前歯が過度に唇側傾斜したり、上の前歯が舌側傾斜したりすることで下顎前突の傾向が高まることがあります。

c)治療方法(成長期と成人の違い)

治療方法は、成長期と成人で異なります。

成長期の場合

上顎の成長を促進したり、下顎の成長を抑制したりする「成長コントロール」が可能です。以下のような装置を使用します。

 「機能的矯正装置」:口腔周囲の筋肉の力を利用して顎や歯の位置を調整

 「上顎前方牽引装置」:上顎の成長を促す

また、子どものマウスピース型の矯正装置「ムーシールド」を利用して骨格や筋肉や舌の調整を行い、反対咬合を治療する方法もあります。

早期に治療を開始することで、将来的な外科的手術の必要性を減らすことができるかもしれません。

成人の場合

骨の成長が終了しているため、歯の移動で対応するのが一般的です。

軽度〜中等度の歯性下顎前突の場合、マウスピースやワイヤー矯正で治療が可能です。骨格的な問題の解決が必要な時には、外科的矯正治療を選択する場合もあります。

3.叢生(乱杭歯・八重歯など)

a)症状

叢生のイラスト(正面)

歯がガタガタに生えている状態です。犬歯が飛び出して生えている「八重歯」も叢生の1つです。歯が正しい位置に萌出しようとしてもスペース不足のために歯が重なり合ったり歯列から逸脱したりします。

日本人は、顎の大きさに対して歯が大きい、又は歯の本数に対して顎が小さいなどが理由で、叢生がよく見られます。

b)原因

遺伝的な問題

:顎と歯の大きさのミスマッチが原因で叢生になる場合は、遺伝的な問題が関与している可能性があります。

乳歯の早期喪失

:乳歯が虫歯などで予定より早く抜けてしまうと、隣の歯が倒れ込んで、永久歯が生えるスペースが不足します。結果として、永久歯の生えるスペースが不足して叢生になる可能性が高まります。

食事内容の変化

:現代人の食事の変化(柔らかい食べ物が多い等)が原因で、顎の発達が不十分になり叢生が増加していると言われています。

c)叢生のデメリット

叢生は見た目の問題はもちろん、食物残渣が溜まりやすく、歯磨きが行き届きにくい構造のため、虫歯や歯周病のリスクが高いという健康上の問題もあります。

d)治療方法

叢生の治療の目的は、歯を正しい位置に並べるための「スペースの確保」です。2つの方法をご紹介します。

抜歯と矯正治療

歯がキレイに排列するためのスペースを確保するために、抜歯が選択される場合があります。
親知らずや犬歯の抜歯を行い、矯正治療で臼歯の後方移動と叢生部位の整列を行っていきます。

IPR(ディスキング)

エナメル質を薄く片側一層削る(0.2〜0.5㎜程度)ことで歯の移動スペースを確保します。一歯のみでは僅かな隙間でも、全歯に実施すると最大6.5㎜のスペースが可能になります。歯列拡大の矯正治療と組み合わせて実施されることがあります。

☆どの治療法を選択するかの基準は、叢生の程度・顔貌・骨格の状態・歯の大きさ等を総合的に判断して決定する必要があります。

    4.空隙歯列(すきっ歯・正中離開)

    a)症状

    空隙歯列のイラスト(正面)

    「空隙歯列」とは、名前からも想像しやすいですが、歯と歯の間のスペースが大きい状態です。以下のような症状が見られます。

    • 食べ物をしっかり噛み切れない
    • 発音が正確にできない
    • 見た目のコンプレックスの1つになる

    b)原因

    先天的な原因

    ・歯の大きさ

    歯が通常より小さかったり、少なかったりすると、歯列に必要以上のスペースができて「すきっ歯」の状態になることがあります。

    ・上唇小帯が発達している場合
    上唇小帯の異常を示したイラスト

    「上唇小帯」:上顎前歯部の中央にある上唇の内側と歯茎の付け根をつなぐスジのこと。

    一般的に、年齢と共に歯茎の上方に移動します。しかし、歯と歯の間まで上唇小帯が発達すると、正中離開を起こすことがあります。

    過剰埋伏歯の存在

    本来生えて来るはずのない歯を「過剰歯」と言います。
    過剰歯には3つの種類があります。

    • 「順性過剰歯」:本来の歯と同方向に萌出
    • 「逆性過剰歯」:本来の歯と逆方向に生えて埋伏したままの歯
    • 「正中過剰歯」:上顎前歯部間または裏側に萌出したり埋伏したままの歯

    ➤過剰歯を放置すると…

    過剰歯による正中離開のイラスト

    過剰歯は、他の永久歯を押して正しい位置から逸脱させてしまう可能性があります。正中過剰歯の場合、正中離開が起きて歯並びに影響を与えることがあります。

    後天的な原因

    下に示すような口元の癖があると歯列空隙を起こしやすくなります。

    口腔習癖に関するイラスト(舌突出癖・口呼吸・指しゃぶり・噛唇癖等)

    c)治療方法

    原因に応じた治療方法を選択します。

    歯が小さかったり欠損歯が原因の場合:

    ワイヤー矯正やマウスピース矯正などの矯正装置を活用して歯列に生じたスペースの解消を行っていきます。

    口腔習癖が原因の場合:

    専用装置を利用して舌の筋力トレーニングを行い、口元の癖を改善します。

    上唇小帯の異常による正中離開の場合:

    上唇小帯の切除術が適応になります。

    5.開咬(オープンバイト)

    a)症状

    開咬(オープンバイト)のイラスト(正面)

    開咬とは、上の歯と下の歯をかみ合わせて、最も多くの歯が接触して安定する状態(=咬頭嵌合位)の時に、上下の歯が数歯にわたって接触していない状態の事です。

    開咬により、以下のような症状が見られます。

    • 発音の異常
    • 噛み切れない
    • 舌の機能異常
    • 口元の突出感

    開咬には以下の2種類あります。

    • 「前歯部開咬」:上下の前歯部が数歯にわたって接触していない
    • 「臼歯部開咬」:上下の奥歯が数歯にわたって接触していない

    b)原因

    骨格性の要因

    :上下顎の形態異常が原因になる場合があります。遺伝的な要因が関与していることもあります。

    歯槽性の要因

    :骨格的な異常は見られず、歯に異常があることで開咬になることがあります。歯の高さの異常が原因になる場合があります。前歯が低すぎる、奥歯が高すぎる等。

    習癖性/環境性の要因

    :以下のような口腔習癖や舌の大きさ等が原因となって開咬を起こすことがあります。

    • 舌突出癖
    • 噛唇/爪癖
    • 異常嚥下癖
    • 巨舌症

    c)治療方法

    開咬の重症度や原因によって適応できる治療法が異なります。

    歯槽性要因による軽度の開咬の場合

    :矯正治療(マウスピース矯正やワイヤー矯正など)で、歯を正常な位置に移動させて歯並びを整える治療法が選択されます。

    骨格性要因による重症の開咬の場合:

       骨が発達中の子どもの治療法

       ➤骨を正しい位置に誘導する矯正装置を装着し、開咬の改善を図ります。

       骨の成長が完了した成人の治療法

       ➤成人の重症の骨格的な問題は、「外科的矯正手術」と「矯正治療」を併用して解決します。

    強い口腔習癖が残っている開咬の場合:

    口腔習癖を改善してから開咬の治療を行います。

    6.過蓋咬合(ディープバイト)

    a)症状

    過蓋咬合(ディープバイト)のイラスト(正面)

    過蓋咬合とは、歯をかみ合わせた際に、上下の前歯が過度に深く重なり合っている状態です。
    正常なかみ合わせでは、上の前歯が下の前歯を2〜3mm覆いますが、過蓋咬合では下の前歯が見えないほど深く覆われていることもあります。

    b)原因

    骨格的要因

    :上顎が大きい、下顎が小さい、下顎が後方に位置している、歯が大きい等、骨格的なバランスの異常は過蓋咬合を誘発します。

    歯の萌出異常

    :前歯の過萌出、奥歯の低位(萌出不足)により、上下の前歯の重なりが深くなります。

    口腔習癖

    :以下のような口元の癖があると過蓋咬合を誘発する可能性があります。

    • 食いしばり、歯ぎしり➤奥歯がすり減って低位になり、過蓋咬合になる可能性があります。
    • 舌突出癖、下唇を噛む癖 ➤前歯が内側に倒れこんで過蓋咬合気味になります。
    • 口呼吸 ➤下顎の後退と舌の低位を招き、前歯の被蓋が深くなります。

    c)治療方法

    重症度や患者さんの成長段階に応じて適切な治療法を選択します。

    前歯の「圧下」/奥歯の「挺出」

    過剰に萌出した前歯を歯茎の中に押し込み、咬耗や虫歯などの原因で高さが減少した奥歯を引き出します。
    アタッチメントを活用したマウスピース矯正やワイヤー矯正などを使用して歯を動かします。

    骨格の成長誘導(成長期)

    骨の成長段階にある小児の場合、下顎の成長と奥歯の萌出を促す「機能的矯正装置(アクチバトール等)」を活用することで、過蓋咬合を改善を試みる場合があります。

    外科的矯正手術(重症例)

    重度の骨格性過蓋咬合の場合は、外科矯正(骨切り術)を検討することもあります。
    顎関節に問題がある場合は、矯正治療前に顎関節症の治療が必要になることもあります。

    7.交叉咬合(クロスバイト)

    a)症状

    交叉咬合(クロスバイト)のイラスト(正面)

    通常であれば上の歯が下の歯を覆って左右対称に噛み合う歯において、片側性または両側性で、左右/前後の関係性が逆転している状態です。

    b)原因

    骨格的要因

    :上顎が小さい、下顎が大きい等、骨格的な問題が関与している場合があります。

    習癖

    :指しゃぶり、舌突出癖、噛爪癖、歯ぎしり、といった口元の癖や頬杖といった日常的な癖が歯並びや骨格に影響を与え、交叉咬合につながることがあります。

    c)治療方法

    年齢によって治療方法が異なりますが、どの症例に対しても早期に開始することが望ましいです。特に成長期に子供の場合、早期治療により正常な顎の成長を促し、顔面のゆがみを防止できます。

    口腔習癖の改善

    上記のような、日常的な悪習癖が原因で交叉咬合が発生している場合には、習癖の改善を行ってから、矯正治療に移行することがあります。

    骨格の成長コントロール

    小児の交叉咬合の場合、まだ顎の成長段階にある際には、以下のような矯正装置を利用して治療することが可能です。

    ✓ 急速拡大装置(上顎を横方向に拡大する固定式の装置)
    ✓ リンガルアーチ(歯列の内側に設置するワイヤー)

    矯正装置の活用

    成長期が終了した後の交叉咬合の場合、ワイヤー矯正やマウスピース矯正を利用して、歯列を拡大し、歯を少しずつ正しい位置へと動かすことで正しいかみ合わせを獲得していきます。

    矯正治療が難しい・特別な対応を要する歯並び

    矯正治療が難しい・特別な対応を要する歯並び(外科的矯正手術の画像)

    ✓ 顎変形症
    ✓ 重度の骨格性不正咬合
    ✓ 外科矯正との併用

    外科矯正では、全身麻酔下で顎の骨を切り、正しい位置に移動させて固定します。術後、矯正装置を活用してかみ合わせの微調整を行い、矯正治療が完了後、リテーナーで保定を行います。

    外科矯正が大がかりな侵襲性の高い治療法と言えますが、成人患者さんの重度不正咬合を解決する数少ない治療法であり、審美的にも機能的にも根本から改善できるメリットもあります。

    まとめ(結論)

    矯正歯科で治療可能な歯並びについての結論

    矯正歯科で治せる歯並びについて、代表的な7種類を詳しく解説しました。ご自身のお悩みに当てはまる症状は見つかったでしょうか?

    実際の診断は口腔内の詳細な検査が必要です。見た目だけでは判断できない骨格の問題や、歯根の状態、顎の関節の状態なども、治療計画に大きく影響します。そのため、自己判断せず、必ず歯科医院にて診察・検査を受けることをおすすめします。

    矯正治療は美しい歯並びを手に入れられると同時に、正しい噛み合わせに整えることができ、充実した食生活や人生の質を大きく向上させるでしょう。

    矯正歯科では、適切な診断と治療計画のもとでお悩みの歯並びを改善することができます。歯並びのタイプや重症度によって、最適な治療方法が異なるため、まずはお気軽に広島市中区にあるおひさま歯科にご相談ください。当院では患者様に寄り添った歯科治療をご提供しております。