Ohisama Note

おひさまノート

睡眠時無呼吸症候群 2025.06.18

睡眠時無呼吸症候群とは?原因や症状、治療について解説

目次

「睡眠時無呼吸症候群」とは、眠っている間の呼吸が不十分になってしまったり、一時的に呼吸が止まってしまったりする病気のことです。

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中のいびきや日中の眠気、集中力の低下を引き起こします。

生活の質が低下するだけでなく脳卒中や心筋梗塞などの合併症のリスクもあるため、「もしかしたら」と思ったら放置せずに治療を受けましょう。

この記事では睡眠時無呼吸症候群の症状や原因、検査や治療の方法について解説します。当院で行っている治療についても詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中の呼吸が止まる病気

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間の呼吸に異常が見られる病気のことです。睡眠の質が低下するため、日中に集中力の低下や眠気を引き起こします。

生活の質が低下するだけでなく高血圧、糖尿病などの生活習慣病を合併しやすく、心不全や脳卒中を発症するリスクが指摘されています(※1)。

睡眠時無呼吸症候群には2つのタイプがあり、多くの患者さんは「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」に分類されます。

2019年に発表された報告によると、日本では閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんだけで900万人も存在すると言われています(※2)。

他の病気とも関連性が高いため、早めの治療が大切です。

「もしかしたら、自分も睡眠時無呼吸症候群かも」と思ったら、放置せず医療機関を受診しましょう。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020
(※2 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疫学

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時無呼吸症候群の主な症状は、以下の通りです(※1)。

  • いびきをかく
  • 日中に眠気、だるさを感じる
  • 寝ている間に息苦しさで目が覚める
  • 眠れない
  • 寝ている間に呼吸が止まっていることを他の人から指摘された
  • 寝汗をよくかく
  • 夜中にトイレのため何度も起きてしまう
  • 朝の起床後に頭が痛いことがある

特に「寝ている間に息苦しさで目が覚める」「寝ている間に呼吸が止まっていることを他の人から指摘された」は、睡眠時無呼吸症候群に顕著な症状です。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

睡眠時無呼吸症候群の原因には2つのタイプがある

睡眠時無呼吸症候群は原因によって2つに分類されます。

  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
  • 中枢性睡眠時無呼吸症候群

それぞれ原因を解説します。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の患者さんのうち、大多数は閉塞性睡眠時無呼吸症候群に分類されます。閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは、口腔や鼻腔・咽頭・喉頭といった空気の通り道が塞がってしまうことで起こる病気です。

特に肥満の方は首周りに脂肪がつくため上気道が狭くなり、気道が塞がりやすいため発症しやすいことがわかっています。

また、一般的に女性より男性に起こりやすく、70歳代までは加齢により発症する確率が増加する傾向にあります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は当院で治療が可能です。

中枢性睡眠時無呼吸症候群

中枢性睡眠時無呼吸症候群とは、呼吸中枢が適切に働かないために十分な呼吸ができなくなってしまう病気のことです。

脳の中で、体に呼吸をするよう指示を出している機能を「呼吸中枢」と言います。呼吸中枢が常に働いているおかげで、私たちは眠っている間も呼吸をしています。呼吸中枢が何らかの理由でうまく機能しなくなると、呼吸の指示が体に出せません。

中枢性睡眠時無呼吸症候群の原因として、神経系の病気や一部の薬による副作用が知られています。

睡眠時無呼吸症候群の検査

睡眠時無呼吸症候群は症状だけでなく、検査の結果を踏まえて医師が判断します。

検査するには、睡眠中の呼吸の状態と、体の酸素の状態を調べる必要があります。当院ではレンタル機器を患者さまのご自宅にお届けし、就寝時に検査機器を装着していただくことで検査が可能です。

検査の機器には、呼吸を検出するための鼻の外側に装着する気流センサーのチューブと、血液中の酸素飽和度を測定するための指に付ける小型センサーがつながっています。

検査機器からデータを解析して、医師が診断を行います。

睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群の治療として、主なものは次の3つです。

  • マウスピース治療(OA療法)
  • 鼻やのどの処置、手術
  • CPAP治療

当院ではマウスピース治療、CPAP治療に対応しています。

マウスピース治療(OA療法)

軽症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して、マウスピース治療が対象となることがあります。OA(oral appliance)療法とも言われます。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、舌根(舌の奥の部分)が落ち込んで気道が塞がることで起こる病気です。マウスピースを装着すると、下顎が前へずらされるため舌根が落ち込んでも気道が塞がりにくくなります。

CPAP治療より効果は小さいものの、マウスピース治療は生活の質を改善し、心血管疾患のリスクである高血圧の改善が期待できる治療法です(※1)。

マウスピースは自分に合った形の器具を装着する必要があり、歯科で作成します。

当院は脳神経外科のほかに歯科も併設しているため、院内でご相談を承ることが可能です。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

鼻やのどの処置、手術

閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、鼻中隔湾曲や咽頭・喉頭の扁桃腺の構造が原因で気道が塞がってしまう症例も見られます。

マウスピース治療やCPAP治療が難しい場合、耳鼻咽喉科での処置や手術が選択肢となる場合があります。

肥満には当てはまらないのに閉塞性睡眠時無呼吸症候群を発症している場合、のどや鼻の構造に原因が見つかる場合もあるため、一度耳鼻咽喉科を受診しましょう。

CPAP治療

CPAP治療とは専用のマスクで空気を送り込み、気道に圧力をかけて気道を確保する治療法です。中程度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群を持つ方がこの治療の対象になります。

CPAP治療により動脈硬化などの心血管の病気に関するパラメーターが改善し、脳卒中や心筋梗塞などの心血管系の疾患が発生するリスクを抑える効果が期待できます(※1)。

肥満により閉塞性睡眠時無呼吸症候群を発症していても、まずはCPAP治療を始めた上で原因を改善する方法がおすすめです。

肥満の解消には長い時間がかかるため、CPAPを導入して睡眠の質、合併症リスクを改善してから根本の解決に取り組むと効率が良いでしょう。

(※1 参考)睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

当院でも睡眠時無呼吸症候群の治療を承っています

睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気やだるさを引き起こすだけでなく、合併症のリスクもあります。生活の質を保って健康に過ごすには、早めの受診、治療が大切です。

当院では閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療に対応しています。

「最近、息苦しくて夜中に起きてしまう」

「寝ている間、家族から呼吸が止まっていると言われた」

このような方は、一人で悩まず一度当院へご相談ください。

検査の結果を踏まえて、症状や年齢、体質に合った治療をご提案いたします。

イラスト:帝人ヘルスケア株式会社さま提供