Medical Column

医療コラム

医療コラム 2024.09.17

新薬エムガルティ®について解説!片頭痛の予防注射

目次

今回ご紹介するエムガルティ®(以下エムガルティと略)は、2021年4月より
新しい治療薬として登場しました。

エムガルティは、頭痛発作が起こるのを
抑えるために作られた新薬です。

今回はそのエムガルティの働き、副作用、費用について専門医が詳しく解説していこうと思います。

片頭痛をお持ちの患者さんの思い

エムガルティの説明に入る前に、片頭痛をお持ちの患者さんの思いについて簡単に触れてみようと思います。

★発作の回数を減らしたい

症状がなくなり、思い通りに過ごせる日を
増やしたいという患者さんが期待する片頭痛治療薬の効果を下記の図に示します。

片頭痛患者さんはさまざまな期待を持っておられます。

そして、片頭痛の治療によってQOL(生活の質)がより良いものになることを
もっとも期待していることがわかりました。

これから、新薬であるエムガルティについて説明していきます。

対象・方法:
頭痛専門クリニック定期通院する片頭痛患者1,750名(反復性片頭痛:716名、慢性片頭痛:491名、片頭痛の疑い:543名)の初回受診時に、片頭痛治療に対して期待することについて、上記の5つの質問を行った。

引用・参考文献:
Kelaman L.:J Headache Pain.2006;7:403-406を改変

エムガルティ®とは

エムガルティ(一般名:ガルカネズマブ)とは片頭痛発作時に発現が認められる
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に特異的に結合する、ヒト化IgG4モノクローナル抗体です。

これらの注射製剤は、片頭痛の発生メカニズムを遮断することにより、実質的に
片頭痛を発生させないようにします。

他にも、現在日本で使用できるのは「フレマネズマブ:(一般名)アジョビ®」
「エレヌマブ:(一般名)アイモビーク®」、エムガルティの3種類があります。

当院でも同様に3種類の抗CGRP製剤が
使用可能です。

それぞれの製剤を使用する上での大きな違いはほとんどありません。

エムガルティとアジョビの違いはほとんどないと前述しましたが、気になる方は
おひさま脳神経外科・歯科のホームページ・医療コラムに記載してあります。

ぜひ、読んでみてください。

エムガルティの働き

片頭痛は、脳内にCGRPという物質が増え、脳の血管に作用して起こるといわれています。

エムガルティは、CGRPの働きを抑え、
片頭痛発作が起こるのを抑えると考えられています。

エムガルティの効果

★片頭痛日数の変化量

エムガルティ群では、1か月あたりの片頭痛日数が、月に平均9日だったものが
6か月の平均で4.3日減少したと報告があります。

エムガルティの効果発現時期に関しては、
1か月頃にはすでに4日減少しておりその後は徐々に片頭痛の回数は減少し、
エムガルティ投与から5か月目には約5日にまで減少しています。

★片頭痛持続時間の変化量

エムガルティを投与するまでは1か月53.1時間片頭痛が持続していると報告がありますが、
エムガルティを投与した1か月目では26.3時間減少していることが上の図からわかります。

その後も持続時間は減少し、5か月目には29.3時間も減少しています。

どのような患者さんが使用できるのか?

エムガルティを使用するためには、片頭痛と正しく診断されていることが必須です。

以下の条件を満たすときにエムガルティの使用を考えます。

  1. 片頭痛であることが確認されている。
  2. 過去3か月間の1か月あたりの片頭痛日数が平均4日以上ある。
  3. 日常生活上の注意や急性期治療薬(鎮痛剤やトリプタンなど)を
    使用しても日常生活に支障がある。
  4. プロプラノロール塩酸塩、バロプロ酸ナトリウム、
    ミグシスなどの予防薬を使用しても効果が乏しい、
    あるいは副作用がある、または合併症のために
    これらの薬剤が使用できない。

エムガルティを使えない患者さんはどんな人?

1.妊婦

妊婦さんまたは妊娠している可能性のある
女性には治療上の有益性が危険性を
上回ると判断される場合にのみ投与することとされています。

ヒトIgGは胎盤関門を通過することが
知られています。

エムガルティはウサギおよびラットにおいて胎児への移行が報告されてますが、
胎児に有害な影響は認められませんでした。

2.授乳中

治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討する。

エムガルティの乳汁中への移行および授乳された乳児への影響は不明です。

ヒトIgGは乳汁中へ移行することが知られていることから、エムガルティも
授乳された乳児への移行の可能性が考えられています。

3.小児

小児を対象とした臨床試験は実施されていないため18歳未満の方は使用は出来ません。

参考・引用文献:

一般財団法人日本医療情報センター(JAPIC)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00069230.pdf

エムガルティの投与方法

エムガルティの投与は、初回2本(ローティングドーズ)打つことが保険でも
認められており、お勧めです。

ローティングドーズ投与により、初回投与後に速やかに血中濃度が有効な状態に
到達することが期待でき、即効性と持続性を有します。

注射の間隔は1か月ごとです。

また、自宅にてご自身で接種する在宅投与も可能となっております。

エムガルティの注射部位は、「お腹」
「太もも」「腕」「お尻」です。

同じ部位にくり返し注射する場合、毎回注射針が刺さる箇所を変更する
必要があります。

また、傷があったり発赤等がある箇所には投与しないようにしましょう。

エムガルティのなどの自己注射用の注射器のいい所は、操作が簡単なことです。

まず、ロックを解除しキャップをあけます。

そのあとは、注射部位に直角に押し当てて、
緑のボタンを押すだけで投与が出来ます!

注射が苦手という方もたくさんいますが、
エムガルティは「針を見なくていい」「刺さなくていい」「抜かなくていい」ように
出来ています。

お薬の注入も自動でしてくれます。

練習をしたらどなたでも、安全・簡単に注射ができます。

看護師が丁寧に説明・指導をいたしますので安心してください。

エムガルティはいつまで続けないといけないの?

海外の頭痛学会のガイドラインには、12~18ヵ月の連続治療後に、エムガルティの中断
について検討するとなっています。

しかし、医師の判断で治療が必要だと判断された場合には継続して治療をすることを推奨しています。

また、中断後しばらくしてから悪化等があった場合には、治療の再開を推奨しています。

エムガルティ投与のおひさま脳神経外科・歯科での流れ

1.診察

来院された当日に、エムガルティを使用することはできません。

まずは、受診して頂いて診察をします。

医師の診察を受けCGRP関連予防注射薬の
適応があるかを確認したうえで投与が可能になります。

頭痛がひどいからとすぐにエムガルティなどの注射薬を投与することはできませんので、
あらかじめご了承ください。

効果や副作用、治療の流れをご理解いただいた上で、投与を行う日程を調整します。

2.投与日当日

来院後に薬剤を冷蔵庫から取り出して常温に戻す必要があるため30分程度
お待ちいただくことがございます。

あらかじめご了承ください。

また、高価な薬剤ですので、無断でのキャンセルはお控えください。

キャンセルされる場合は、必ずご連絡をお願い致します。

エムガルティの副作用と有害事象

エムガルティ投与後、よくみられる副作用は注射部位疼痛が最も多いです。

その他の注射部位反応としては、発赤、
かゆみ、内出血、腫れなどです。

多くの場合、注射した日に出現し、数日以内に消失しています。

また、アナフィラキシー、血管浮腫、じんま疹等の重篤な過敏症が報告されています。

投与後は観察を十分に行い、症状が発現した場合はすぐに医師・薬剤師に連絡し、
早めに医療機関を受診しましょう。

また反応が長引くこともあり、その場合は以後の投与の中止も考慮することがあります。

エムガルティの費用

エムガルティの薬剤費の目安は、3割負担の
場合1本が約13,000円/月です。

そのためローティングドーズがある初めての投与では、2本投与になり約26,000円になります。
(令和6年9月時点)

片頭痛を予防したい!エムガルティを試してみたい!ぜひおひさま脳神経外科・歯科クリニックへ!

当院では、エムガルティ®、アジョビ®、
アイモビーグ®の3種類の注射薬を準備しています。

片頭痛でお悩みの方、予防注射に興味のある方は、おひさま脳神経外科・歯科に
お越しください。

まずは、相談・話を聞きたいという方も
お気軽にお越しください。

また当院では、頭部外傷の処置(縫合)や
傷口を焼いて止血するなどの応急処置も行っています。

他にも、MRI・CTを完備していることから
脳腫瘍や脳梗塞などの命に関わる病気の初期診断をすることができます。

広島で脳神経外科・脳神経内科をお探しの方は当院にお越しください。

日本脳神経外科学会 専門医・指導医の院長が対応します。

当院ではできない大きな手術や処置に対しては、提携する医療機関をご紹介します。

院内を完全バリアフリー化しており、
車椅子の患者様にも安心して受診していただけます。

保育士が在籍するキッズスペースでは、
無料でお子様をお預かりしていますので、
子育て中で頭痛やめまいにお悩みのママ・パパにも、安心して受診していただけます。

はじめて当院を受診される方はWeb予約を
お願いします。

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