今回ご紹介する、アジョビは片頭痛発作を
できるだけ起こさないようにするためのお薬です。
医学的にはヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤という薬剤に分類されます。
この記事では、アジョビの働きや効果、副作用、費用からエルガルディや市販薬との違いについて詳しく解説します。
片頭痛にお困りで内服薬では改善しない
といった方はぜひ参考にしてみてください。
片頭痛とは、原因になる病気がないのに、
頭の片側や両側がズキズキと脈打つように痛くなる状態のことです。
頭の中の血管を取り巻く神経(三叉神経)が刺激され、脳血管周囲に炎症を引き起こす
ことで起きると考えられています。
片頭痛については、おひさま脳神経外科・歯科ホームページの医療コラムで
詳しく解説しておりますので、気になる方はこちらを見てみてください。
文字通り片側だけ痛む方は全体の6割で、両方痛む方は4割程度いらっしゃいます。
頭痛は寝込んでしまうほどのひどさで、吐いてしまう人も・・・。
さらに動くことで症状が悪化するという特徴があったり、音や光、臭い刺激で頭痛が
ひどくなる方もおられます。
一般的に片頭痛は週2、3回~月1回の頻度でおこり、1回の頭痛発作は4時間〜3日間程度続きます。
2024年時点で頭痛(片頭痛)を根治させるための薬や治療法はありません。
そのため、薬を使って痛みをコントロールしたり、片頭痛が起こりにくいように
体調を整えたり、片頭痛予防法を実践したりして上手に頭痛(片頭痛)と付き合っていくしかないのが実状です。
片頭痛で効果が期待できる治療は、痛みを和らげる痛み止めや、片頭痛専用の
急性期治療薬や、片頭痛をおこりにくくするための予防薬です。
頭痛の症状が軽い方は痛み止めを使用し、
それでは効果が不十分な場合は専用の急性期治療薬であるトリプタン製剤や
ジタン系薬剤を使用します。
→アセトアミノフェン、ロキソプロフェンナトリウム、イブプロフェン
→スマトリプタンコハク酸塩、リザトリプタン安息香酸塩、
エレトリプタン臭化水素酸塩、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン塩酸塩ラスミジタン
→内服薬:ミグシス®、プロプラノロール、バルプロ酸ナトリウム
→CGRP関連抗体薬(注射薬):アジョビ®、アイモビーグ®、エムガルディ®
アジョビで行う予防療法の目的は下記の通りです。
片頭痛は、何らかの刺激により、三叉神経と呼ばれる神経からCGRPなどの
神経伝達物質が放出され、脳内の血管などに作用することで起こるといわれています。
アジョビは、まさにその片頭痛の原因の一つであるCGRPと結合し働きを抑えることで
片頭痛発作を起こさないようにする薬です。
アジョビの具体的な効果について下の画像を見てみてください。
引用文献:アジョビの治療をはじめるにあたって
https://www.otsuka-elibrary.jp/pdf_viewer/?f=/support/dlc/pdf/29339_AJ2304053.pdf
他にも海外の文献では、12か月間、経口内服予防薬を使用した3022人の患者を
対象に調査をしたところ、患者の82.5%が中止していることがわかっています。
患者の基本治療日から中止日までの期間は
平均56.9日(約2か月)でした。
このことから、何らかの副作用または効果が得られなかったことが考えられます。
しかし、アジョビなどのCGRP関連抗体薬の中断率は、約1-3%程度といわれています。
経口内服予防薬と比べても分かるように、それだけ効果も高く、副作用もないといえます。
アジョビは皮下に注射をする皮下注射という方法で実施します。
注射する部位は、「腕」「お腹」「太もも」のいずれかです。
腹部ではへその周り5cm以内は避けて注射をします。
また、アジョビなどの自己注射用の注射器のいい所は、押し当ててボタンを
押すだけで投与が出来ることです!
注射が苦手という方も、多くいらっしゃると思います。
しかし、この注射器は「針を見なくていい」「刺さなくていい」「抜かなくていい」
ように出来ています。
お薬の注入も自動ですることができます。
練習をすればどなたでも、安全・簡単に注射ができます。
看護師が丁寧に説明・指導をいたしますので安心してください。
また看護師と注射の練習したり、看護師の見守る中注射をすることも可能です。
わからない・不安なことがありましたら、なんでも相談していただけるとうれしいです。
〇4週間に1回、1本注射
(オートインジェクターによる自己注射も可能)
〇12週間に1回、3本注射
アジョビとエムガルディの違いは、
2つあります。
上記でお話しましたが、アジョビは4週間に
1回・1本、または12週間に1回・3本の
投与方法になります。
アジョビの特徴は、エムガルティと違い、
最初にローディングする必要がありません。
そして、3本打てば効果が3か月持続します。
通院回数を減らしたい方に最適な投与方法になります。
アジョビの注射部位は上腕部、腹部、大腿部のいずれかです。
しかし、エムガルディは上腕部、腹部、大腿部に加えて「臀部」にも打てるという違いがあります。
どちらの注射でも注射部位はメモに残し、
前回と同じ場所に連続で注射するのは避けましょう。
そのほかに、大きな違いはありませんが医師と本人さんとのお話などで患者様にあった
薬剤の種類を提供させていただきます。
エムガルティについて詳しく記載した記事はこちら!
注射を打ったところに、痛み、硬くなる、
赤くなるなどの症状が現れる場合があります。
稀ですが、副作用として重篤な過敏症反応が起こる可能性があります。
全身のかゆみを伴った発赤、じんま疹、呼吸困難、目や口唇周囲の腫れのような
症状が現れた場合には、次の受診日を待たずに早急に病院へ連絡し、医師の診察を受けてください。
まず、アジョビの薬価は、39,090円です。
アジョビの薬剤費のお支払いの目安(自己負担)は以下の通りです。
3割負担の場合(70歳未満)では、
4週間に1回1本打つと、11,730円/1回
12週間に1回3本打つと、35,190円/1回
(令和6年9月時点)
それ以外にも、別で診察料や手技料、飲み薬が出た場合は処方せん料などもかかります。
片頭痛発作をできるだけ起こさないように
する治療(予防療法)は、すぐに効果を感じられないことがあります。
自分の判断で治療を中断してしまうと十分な効果が得られないことがあります。
そのため自分では症状の改善が感じられない場合でも、まずは医師に
相談してみてみましょう。
片頭痛の対策をする上で、発作がいつ、どんなきっかけで起こりやすいのかなど、
自分自身の片頭痛の特徴をしっておくことが大切です。
頭痛の記録を残すことで、頭痛の特徴がわかるだけでなく、医師が患者さんの治療を
考えるために大切な情報になります。
継続した記入をお願いします。
当院では、今回の記事でも解説した片頭痛予防治療薬のアジョビ®、その他にも
エムガルディ®、アイモビーク®なども処方が出来ます。
患者さんの希望や先生の診察から、最適な治療方法をご提供ができます。
他にも、MRI・CTを完備していることから脳腫瘍や脳梗塞などの命に関わる病気の
初期診断をすることができます。
広島で脳神経外科・脳神経内科をお探しの方は当院にお越しください。
日本脳神経外科学会 専門医・指導医の院長が対応します。
また、当院ではできない大きな手術や処置に対しては、提携する以下の医療機関を
ご紹介します。
院内を完全バリアフリー化しており、
車椅子の患者様にも安心して受診していただけます。
保育士が在籍するキッズスペースでは、無料でお子様をお預かりしていますので、
子育て中で頭痛やめまいにお悩みのママ・パパにも、安心して受診していただけます。
はじめて当院を受診される方はWeb予約をお願いします。以前受診したことがある方は
お電話にてご予約ください。
脳神経外科082-569-5728
本記事の作成者
高安 武志 医師・医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医