今回ご紹介するナルティーク®は2025年12月16日に
発売となった片頭痛の新薬です。
ナルティーク®(リメゲパント)はゲパント系というお薬で、
片頭痛の発作時と予防のどちらにも使える
次世代の片頭痛治療薬と注目されています。
今回はそのナルティーク®の特徴、費用、副作用などについて専門医が詳しく解説していこうと思います。

従来は、片頭痛の発作頻度が、割合でどれくらい減ったか、
を治療効果の目安としていました。
つまり、もともとの半分や1/4などになれば、有効である、と判定していました。
しかし、普段は月に20回頭痛があった方が
半分になったとしても、まだ月に10回も頭痛に悩まされています。
1/4に減っても月に5回頭痛があり、
週に1回よりも多いペースです。
月5回頭痛があるということは、
1年間にすると60回頭痛があります。
合計すると約2ヶ月もの期間、
頭痛によって仕事や生活が影響を受けている状態です。
この状態で「治療が有効」とは言えないだろう、
という考え方が示されています。
そこで、割合ではなく、
月に頭痛は4回未満、つまり週1回を切るペース
を治療の目標にしよう、ということが提唱されています。
月4回未満が達成できていない方は
しっかりと予防治療を見直す必要があります。
頭痛頻度が多い場合は、
今回ご紹介するナルティーク®の治療や、
エムガルティ®やアジョビ®などCGRP関連抗体薬の注射治療を
適切に受けましょう。

参考文献:
Sacco S,et al:Setting higher standards for migraine prevention:A position statement of the International Headache Society.Cephalalgia 45:3331024251320608,2025
ナルティーク(一般名:リメゲパント硫酸塩水和物)とは
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の受容体拮抗薬です。
CGRPは片頭痛発作時に三叉神経末端から分泌される物質です。
ナルティーク®はCGRPの「受容体」という
次の神経にあるスイッチのようなものをブロックしてくれます。
CGRPが受容体に結び付くと
スイッチが入るようなイメージで
痛みのシグナルが伝達されてしまいます。
ナルティーク®は片頭痛のメカニズム
に基づいたお薬といえます。
ナルティークでもキーワードとなっている
「CGRP」といえば、
エムガルティ®(ガルカネズマブ)、アジョビ®(フレマネズマブ)、
アイモビーグ®(エレヌマブ)の3種類の注射薬もあります。
これらとの違いは何でしょうか。
これらのお薬は、抗体薬という皮下注射のお薬でした。
CGRPが片頭痛を引き起こすのをブロックする
という効き方の仕組みはナルティーク®と共通しています。
大きな違いは、ナルティーク®は
内服薬である、という点です。

ですので、
・注射がどうしても苦手でCGRP関連抗体薬に踏み切れなかった。
・CGRP関連抗体薬は良く効いているが、
注射部位反応(注射した部分の腫れ・かゆみなど)が毎回強めにでる。
などの場合は試してみるとよいでしょう。
OD錠(口腔内崩壊錠)となっており、
水なしでも服用できます。
お薬を使う回数も異なります。
CGRP関連抗体薬は4週間毎、もしくは月1回の注射でした。
(アジョビ®のみ、3ヶ月に1回3本の投与方法もあり)
一方のナルティーク®は2日に1回の飲み薬です。
ナルティーク®は急性期治療薬
つまり、頭痛発作が来た時のとん服
としての使用も認められています。
予防治療として飲む場合は2日に1回ですが、
その間に発作があれば追加で使用してよいことになっています。
他の予防治療薬を使用中でも
頭痛発作時のとん服にナルティーク®を服用することもできます。
片頭痛発作時のとん服の
代表薬はトリプタン系ですが、
トリプタン系には血管収縮作用があるため、
心筋梗塞や脳梗塞などの既往歴
などがある方には使用できません。
ナルティーク®は血管収縮作用がなく、
心血管系への影響はないとされていますので、
ご年配の方など幅広く使用できます。
ナルティーク®のお薬代の目安は、3割負担の方であれば
1錠が900円近くします。
仮に900円として4週間予防治療で2日に1回服用した場合、
\12,600/月となります。
したがって、予防治療の場合は
CGRP関連抗体薬の注射と
費用面ではほぼ同じとなります。
多くの副作用は軽いものです。
時折見られるものに、吐き気・便秘・倦怠感などが報告されています。
薬物の使用過多による頭痛(MOH)の原因に
はならないといわれています。
蕁麻疹やアナフィラキシーなどのアレルギーは、
お薬である以上、わずかですが可能性があります。
服用後に症状が発現した場合はすぐに医師・薬剤師に連絡し、 早めに医療機関を受診しましょう。
飲み薬で治療効果も期待できる新薬ですが、
注意点があります。
発売後1年間は処方日数制限のため
2週間分の7錠までしか処方できません。
このため、2週間毎の通院が必要となります。
また、飲み薬で手軽な反面、
それによるデメリットも予想されます。
海外データでは治療から脱落してしまう率が
CGRP関連抗体薬の注射薬より高いと言われています。

片頭痛でお悩みの方、予防治療に興味のある方は、おひさま脳神経外科・歯科に
お越しください。
まずは、相談・話を聞きたいという方も
お気軽にお越しください。
また当院では、頭部外傷の処置(縫合)や
傷口を焼いて止血するなどの応急処置も行っています。
他にも、MRI・CTを完備していることから
脳腫瘍や脳梗塞などの命に関わる病気の初期診断をすることができます。
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日本脳神経外科学会 専門医・指導医の院長が対応します。
当院ではできない大きな手術や処置に対しては、提携する医療機関をご紹介します。
院内を完全バリアフリー化しており、
車椅子の患者様にも安心して受診していただけます。
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