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医療コラム

医療コラム 2024.07.09

熱中症で頭痛が起きたときの対処法!

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目次

段々と暑い日が多くなっているこの時期、みなさんしんどいですよね。

この暑さが熱中症を引き起こすことをみなさんもよくご存じだと思います。

今回の記事では、熱中症について正しい知識を身につけ、体調の変化に
気をつけるとともに、周囲にも気を配り、熱中症による健康被害を防ぎましょう!

熱中症とは

高温多湿な環境に長時間いることで、体温調整機能がうまく働かなくなり、
体内に熱がこもった状態を指します。

屋外だけでなく室内にいて何もしていないときでも発症し、
救急搬送されたり、場合によっては死亡することがあります。

熱中症発生のメカニズム

人は運動や仕事などで体を動かすと、体内で熱が作られて体温が上昇します。

体温が上がったときは、汗をかくこと(気化熱)や、体の表面から
空気中に熱を逃すこと(熱放散)によって、体温を調節しています。

平常時は、こうした体温を調節する機能がうまく行われるため、
人の体温は36℃から37℃くらいに保たれています。

しかし、気温や湿度が高い環境で激しい運動を行うと、体内で作られた熱を
うまく外に逃がすことができなくなります。

さらに、そのような環境の下でいつも以上に運動や活動を続けると、
体がどんどん熱くなり、汗をかいて体の水分や塩分が減っていきます。

そうすると、体内の血流の流れが悪くなり、体の表面から空気中に熱を
逃すことができなくなり、汗もかけなくなります。

このように体温の調節がうまくできなくなると、体の中に熱がたまって体温が上昇します。

脳を含む重要な臓器は、37℃以下で一番うまく働き、体温が高くなると機能しにくくなります。

また、汗をかいて体から水分が減少すると、筋肉や脳、肝臓や腎臓などに
十分に血液が行き渡らないため、筋肉がけいれんしつってしまったり、
意識を失ったり、肝臓や腎臓の機能が低下したりします。

こうして体の調子が悪くなることで、熱中症が引き起こされます。

引用・参考文献:

熱中症のメカニズム | 熱中症ゼロへ – 日本気象協会推進

熱中症を引き起こす3つの要因

★環境

  • 気温の高さ ・湿度の高さ ・風の弱さ
  • 日差しが強い ・急に熱くなった日 ・熱波の襲来
  • 閉め切った屋内 ・エアコンのない部屋 など

★からだ

  • 高齢者や乳幼児、肥満の方
  • 持病を持っている方(糖尿病、心臓病、精神疾患)
  • 低栄養状態
  • 脱水状態(下痢、インフルエンザ等)
  • 体調不良(二日酔い、寝不足等)

★行動

  • 激しい運動
  • 慣れない運動
  • 長時間の屋外作業
  • 水分補給がしにくい

「環境」「からだ」「行動」これら3つの要因により熱中症を引き起こす可能性が高くなります。

参考文献:環境省/熱中症予防情報サイト

熱中症の基礎知識(https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness.php)

熱中症になりやすい人(特徴)

〇子ども

子どもは汗をかく能力が未発達です。

そのため皮膚の血流量を増加させ、体の表面から周囲に熱を逃すことで体温を調節しています。

また、子どもは大人よりも体重に対して体表面積が大きいため、
周囲の環境を受けやすく、熱しやすく冷めやすいという特徴もあります。

気温が皮膚の温度よりも低い場合には、体表面積の大きさを活かし、
体の表面から熱を逃すこと(熱放散)で大人と同じように体温を調整することができます。

しかし、気温が皮膚体温よりも高い場合や、地面からの照り返しなどの
輻射熱が大きな場所では、周囲の環境を受けて、熱しやすい子どもの
深部体温は大人よりも大きく上昇し、熱中症のリスクが高くなります。

〇高齢者

高齢者は温度に対する感覚が弱くなることから、室内でも熱中症にかかりやすいと言われています。

通常、脳が「暑い」と判断すると、体は皮膚の血流量や汗を増やして、
体内の熱を周囲に逃そうとします。

しかし、年齢を重ねるとこれらの増加の開始が遅れ、体温上昇に伴う増加の割合も小さくなります。

そのため、高齢者は青壮年と比べて体の熱を周囲に逃す能力(熱放散能力)が低く、
深部体温が上昇しやすくなり、熱中症になりやすいといえます。

熱中症で頭痛が起きるメカニズム

炎天下でのスポーツや暑い室内で長時間仕事をしたりすると、
体温を下げようと大量に汗をかき、体内の水分・塩分が不足してしまい血流の流れが悪くなります。

それにより、めまいや立ちくらみ、一時的な失神が現れてしまうこともあります。

水分・塩分の補給や身体の冷却が行われないと、脳や消化管、肝臓への
血流低下や、それらの重要な臓器自体の温度が上昇し、
全身の倦怠感(だるさ)や吐き気といった症状と共に頭痛が現れます。

熱中症の症状と重症度

日本救急医学会熱中症分類2015では、熱中症の重症度をⅠ~Ⅲの3段階で評価しています。

Ⅰ度は現場で対処可能な状態、Ⅱ度は速やかに医療機関への受診が
必要な状態、Ⅲ度は採血や入院(医療者の判断)が必要な状態と判断します。

症状のみで迅速に重症度を分類できますが、示されている症状はよく見られる
症状というだけで、その症状がなければ大丈夫というわけではありません。

また、熱中症の患者さんは短期間で症状が変化します。

注意深く経過を観察していくことが必要です。

図1:日本救急医学会熱中症分類2015

日本救急医学会:熱中症診療ガイドライン2015.p.7

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf

熱中症は何日で治るの?

患者が健康な成人な場合、重度の熱中症でなければ適切な処置で遅くても
24時間程度で回復すると言われています。

水分・塩分補給をして十分な休養をとることが大切です。

Ⅱ度の重い症状やⅢ度の熱中症の場合は、そのケースにより回復にかかる時間は異なります。

直ちに医療機関を受診し、指示に従いましょう。

また、幼い子どもや高齢者、持病を持っている方など、熱中症に
なりやすい人達は、回復するまで時間がかかる場合があります。

24時間は目安と認識し、人によっては時間がかかることを知っておきましょう。

熱中症を予防しよう!

熱中症はいつでもどこでも条件次第でかかる危険があります。

しかし、熱中症は正しい予防方法を知り、普段から気をつけることで防ぐことができます。

暑さに負けない体づくり

熱中症を予防するためには、暑さに負けない体づくりが大切です。

気温が上がり始める初夏から、日常的に適度な運動をおこない、適切な食事、
十分な睡眠をとるようにしましょう。

水分をこまめに摂取しよう

のどが渇いていなくても、こまめに水分をとりましょう。

塩分を程よく摂取しよう

過度に塩分をとる必要はないですが、日常的にとる食事を通して程よく塩分を
塩分をとることができればとてもいいです。

大量の汗をかく仕事をしている方や運動をされる方は、特に塩分補給をしましょう。

しかし、かかりつけ医から水分や塩分の制限をされている場合は、相談し、
その指示に従うようにしましょう。

睡眠環境を快適に!

通気性や吸収性のよい寝具をつかったり、エアコンや扇風機を適度に使って
睡眠環境を整え、寝ている間の熱中症を防ぐと同時に、
日々快適に眠ることで翌日の熱中症を予防しましょう。

暑さから身を守る行動をとりましょう!

炎天下でのスポーツや、空調設備の整っていない環境での作業時などでは、
熱中症の危険からしっかりと身を守る行動をとることが大切です。

飲み物を持ち歩こう

出かけるときは、常に水分を補給できるように飲み物を持ち歩きましょう。

こまめに水分補給できるようにしましょう。

休憩をこまめにとる

暑さや日差しにさらされる環境で活動するときなどは、こまめな休憩をとり
無理をしないようにしましょう。

熱中症で頭痛が発症した時の対処法

1.涼しい環境への避難

風通しのよい日陰や、できればクーラーが効いている室内等に避難させましょう。

2.脱衣と冷却

・氷枕や氷のうを使う

 首の付け根、両脇や脇の下、太ももの付け根に氷枕や氷のうを当てて冷やします。

 皮膚のすぐ近くにある太い血管を冷やすことで、効率よく全身を冷やします。

・濡れタオルや扇風機を使う

 霧吹きや濡れタオルで体を濡らし、扇風機で風をあてます。

 水を蒸発させ気化熱を奪うことにより、体を冷やします。

3.水分・塩分の補給

冷たい水を持ってもらい、自分で飲んでもらいます。

冷たい飲み物は胃の表面から体の熱を冷却します。

大量の発汗があった場合には、汗で失われた塩分も適切に補える
経口補水液やスポーツドリンク等がおすすめです。

嘔吐の症状が出ていたり意識がない場合は、誤って水分が気道に入る
危険性があるので、無理やり水分を飲ませるのはやめましょう。

自力で水分の摂取ができないときは、塩分を含め点滴で補う必要があるので
急いで医療機関に搬送することが最優先の対処法です。

おひさま脳神経外科・歯科クリニック

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