みなさんは群発頭痛という名前に聞き覚えがありますか?
ほとんどの人が耳にしたことのあるのは、「片頭痛」「緊張型頭痛」
ではないでしょうか?
今回は、あまり知られていない群発頭痛について解説していきます!
群発頭痛は、頭痛発作が群発することが頭痛名の由来です。
群発頭痛は眼周囲~前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が
比較的に短い時間(多くは30分から1時間)起こり、その後消失します。
数週から数か月の期間群発することが特徴です。
群発頭痛は20~30歳代に多く、約85%は男性とされていましたが、
最近の調査では男女差が縮まり、女性の群発頭痛も稀ではありません。
群発頭痛のメカニズムについては、片頭痛と同様に、三叉神経血管説が有力です。
何らかの原因や炎症などで片側の三叉神経第一枝の神経終末に
CGRPやPACAP38などの神経ペプチドが放出されて痛みのトリガーとなります。
後述する、群発頭痛に伴う自律神経症状は
三叉神経~自律神経反射で説明されています。
三叉神経の痛み刺激は脳幹の三叉神経核や三叉神経頚髄複合体を活性化させ、
上唾液核(副交感神経の中枢のひとつ)にまで伝わり、
流涙や鼻漏などの症状を引き起こします。
三叉神経頚髄複合体は視床下部とも連絡しており、
これが群発頭痛が毎日の同じような時間帯に発生することと
関連していると考えられています。
参考文献:
Recent advances in diagnosing, managing, and understanding the pathophysiology of cluster headache. Petersen AS, et al. Lancet Neurol 2024; 23: 712–24
群発頭痛の発作はほとんどの場合、突然始まります。
頭痛の始まりとともに、頭痛がするのと同じ側の目の充血や流涙、
あるいは、鼻閉(鼻づまり)がみられたり、
左右どちらかから鼻漏(鼻水)が出たりすることがあります。
続いて、頭痛は耐えられない程の痛みとなり、眼の周囲へ広がります。
痛みは数分以内にピークに達し、通常は30分から1時間続きますが、
持続時間は15~180分と幅があります。
夜間や睡眠中におこることも多く、痛みで目が覚めることもあります。
また、頭痛発作中は落ち着かず興奮したような状態になる方が多く、
動けなくなる片頭痛とは対照的です。
ホルネル症候群といわれる、頭痛が起こった側のまぶたが垂れ下がり、
瞳孔が収縮することがあります。
頭痛の発作は1日に数回起こることもあります。
群発頭痛は通常1~3ヵ月間(ときにはそれ以上の期間)にわたって
規則的に起こり(群発期)、数か月から長ければ数年間も発作のない
時期が続いたあと、発作がまた始まります。
群発頭痛は市販の鎮痛薬では改善が期待できません。
群発頭痛の発作が起きたらできるだけ早く頭痛の専門医を受診し、
適切な治療を受けましょう。
頭痛には300種類以上のタイプがあり、ご自身の頭痛が
どの種類かなどの判断は難しいと思います。
なので、我慢できない程の頭痛、生活に支障がでる頭痛でお困りの方は
頭痛の専門医の診察を受け、自分の頭痛を知るためにも
病院を受診することをおすすめします。
これから群発頭痛の具体的な治療方法について解説していきます。
トリプタン系薬剤とは、脳内にある血管の収縮作用や抗炎症作用などで、
頭痛の痛みを和らげる薬です。
トリプタンの中で群発頭痛急性期には、スマトリプタン3mg皮下注射、
スマトリプタン点鼻薬20mg/doseによる点鼻内投与および
ゾルミトリプタン5~10mgの経口投与が用いられています。
外国では群発頭痛の頓用薬としてすでに定着しており、
スマトリプタンでは6mgが極めて有効とされています。
スマトリプタンは皮下投与後10分以内ですでに頭痛抑制効果を示し、
15分で74%が頭痛が弱まり、30分で77%が完全に頭痛が
なくなったと報告されています。
また、ゾルミトリプタンの経口投与が反復発作性群発頭痛の
急性発作に有効な場合が多いと報告されています。
しかし、日本で認められたのは1錠2.5mgの製剤でありますが、
群発頭痛の保険適応はまだ認められていません。
酸素吸入は頭痛発作が始まって10分以内に開始されるのが
望ましく、頭痛が最も強くなったときに吸入すると有効性が高いです。
純酸素吸入(フェイスマスクで100%酸素吸入)後、
7分以内に62%で改善がみられています。
群発頭痛の発作はほとんど毎日繰り返されるため、
予防療法の併発が必須になります。
予防療法の第1選択はベラパミルという薬です。
日本では、少量から始めて増やしていきます。
効果が不十分であれば副作用に注意しながら
さらに増量するのが主流となっています。
ベラパミルの効果が出るまで1~2週間程度必要になるため、
初期から副腎皮質ステロイドのプレドニゾロンを一緒に使います。
プレドニゾロンはベラパミルと一緒に使うことで
短期的な予防効果が実証されています。
・群発期にアルコールを飲むと激しい痛みで苦しむことになりかねません。
発作が起きている期間は飲まないようにすることが大切です。
また喫煙も控えることをおすすめします。
・熱いお風呂やサウナ、辛い食べ物、激しい運動なども控えましょう。
・毎日できるだけ決まった時間に起床、就寝するなど、
規則正しい生活を心がけることが基本です。
睡眠時間も十分に確保しましょう!
・気圧の変化にも注意しましょう。
群発期は飛行機やスキューバダイビングなどの気圧の影響が
大きい行動やスポーツなどは控えるのがおすすめです。
頭痛がどの時期に起こり始めたか、どのような症状が起こったかなどの
頭痛の記録を取りましょう。
群発頭痛は季節の変わり目に起こりやすいとされています。
頭痛が起こる群発期に入ると、連日集中的に頭痛が起こる
特徴があります。
また、上のお話でも出たとおり片頭痛やその他の頭痛とは
異なる症状が現れます。
目の充血や流涙、鼻漏があった際は顔写真をスマホ撮影等で残すことも、
診察時に医師に見せることで大変参考になる可能性があります。
また、頭痛発作の記録をつけておくことで、次回の頭痛が起こる時期の
予測や頭痛の前兆を自身で把握することができるようになります。
群発頭痛は、市販の薬では改善が見込めず、
群発頭痛の専門の薬で服用で改善されます。
また、自分でもできる予防法もあります。
「どうにもならない」「我慢すれば治る」と諦めず
毎日の生活をより良いものにするために頑張りましょう!
どうすればいいのか一歩が踏み出せに方は、
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