Medical Column

医療コラム

医療コラム 2025.01.27

頭をぶつけてズキズキ…実は重症かも?放置してはいけない症状をチェック

目次

つまずいて転んでしまった、交通事故に遭ったという理由で
頭をぶつけたり、頭を切ったりといった頭のケガをすることは
どうしても起きてしまうことがあります。

小さなお子さんでは身体機能が未発達なこと、
体に対して頭が大きく重たいことで転んで頭をぶつけやすくなります。

また、ご年配の方も、足の筋力が落ちて少しの段差で転倒してしまうなどで
頭を打ってしまうことが増えています。

ですので今回は、頭部外傷とは具体的に何か、どう対応すればいいのか、
などについて解説していきます!

頭部外傷とは

頭部外傷とは、何らかの外力が加わって頭部の軟部組織(皮膚、皮下組織)、
頭蓋骨、頭蓋内(脳、髄膜など)に損傷が起こることを「頭部外傷」と言います。

軽いたんこぶで済むものから、頭蓋内に命のかかわる大出血を来すものまで、
加わった外力の程度により、病態や予後は大きく変わります。

通常は、加わった外力が大きければ大きいほど、損傷の程度も大きくなります。

ですが、軽い打撲と思い込み、頭部外傷直後は
「特に大きな変わりないからだ大丈夫」と思っていても、
来すことがあると言われています。

実は脳損傷を負っている場合や、時間が経って重大な脳損傷を
来すことがあると言われています。

頭部外傷の病態

先程も説明したように、頭部外傷は加わった外力が大きければ
大きいほど、頭部の損傷の程度が変わってきます。

代表的かつ重大な疾患として、以下のものがあります。

  • 外傷性脳実質損傷
    ・脳挫傷
    ・外傷性脳内血腫
    ・びまん性軸索損傷
  • 外傷性頭蓋内出血
    ・急性硬膜外血腫
    ・急性硬膜下血腫
    ・外傷性くも膜下血腫
    ・慢性硬膜下血腫
  • 頭蓋骨骨折
    ・頭蓋骨陥没骨折
    ・頭蓋底骨折

それぞれ簡単に疾患について解説していきます。

外傷性脳実質損傷

脳挫傷

脳挫傷は、頭部への直接的な打撃や激しい揺れにより、
脳そのものが損傷を受けた状態です。

衝撃を受けた側の脳だけでなく、反対側の脳にも
損傷が現れることもあります。

損傷を受けた脳の部位で機能障害が起こるほか、
脳腫脹(脳が腫れた状態)を強く伴う場合は、
生命の危機に及ぶこともあります。

24~48時間後に脳腫脹はひどくなり、これが脳挫傷をさらに悪化させます。

このため、周辺部位の脳障害の予防や生命を救うことを目的に
外科的手術が必要になる場合があります。

外傷性脳内血腫

外傷性脳内血腫は頭部の外傷によって、脳内に出血が起こる病気です。

大脳前方の前頭葉や側面の側頭葉などで起こる「表在性脳内血腫」と、
大脳内側の基底核という部分やその近くに生じる
「中心性脳内血腫」に分けられます。

・表在性脳内血腫は、頭部の陥没骨折や血管が損傷することが原因で、
頭をぶつけて12時間程度は病状が進行することが多いです。
そして多くは、脳挫傷や浮腫を伴い高齢者に多いです。

・中心性脳内血腫は、脳が揺さぶられて神経繊維の一部が損傷を受ける
「びまん性軸索損傷」が原因となります。
交通事故での外傷によるものが多く、小児に多く見られます。

びまん性軸索損傷

まず軸索とは、神経細胞の一部が細長く伸びたもので、
神経細胞本体からの信号を別の神経細胞に伝える電線のような
役割をしているものの1つです。

頭部外傷で脳に回転力や揺さぶられるような力が働いたとき、
白質と呼ばれる脳の中でも軸索がたくさんある部分が広範囲に歪み、
損傷を受けることをびまん性軸索損傷と言います。

外傷性頭蓋内出血

急性硬膜外血腫

頭部外傷により、頭蓋骨と脳を覆う硬膜との間に起こる血が溜まる病気です。

頭蓋骨の骨折などで硬膜動脈や脳静脈洞が損傷し、
出血することが原因で生じます。

若年者の多く、乳児や高齢者は頭蓋骨と硬膜が密着しているため、
発生頻度は低いとされています。

典型的な症状としては、受傷直後は意識レベルが比較的保たれているものの、
その後、急激な意識障害の出現・進行を呈することがあることが挙げられます。

急性硬膜下血腫

頭部外傷が原因で、頭蓋骨の下にある硬膜(脳と脊髄を覆う膜の一つ)と
脳の間に出血が起こり、そこに出血した血液が急速にたまることで、
脳を強く圧迫する状態のことをいいます。

あらゆる年齢層に起こりえますが、高齢者に多いのが特徴です。

急性硬膜下血腫は、強い頭部外傷により引き起こされるため、
脳の損傷に伴い、受傷直後から意識障害が見られます。

外傷性くも膜下出血

くも膜下出血とは、脳を包む3つの膜のうち、2つ目の膜である
くも膜の内側に出血するものです。

外傷性くも膜下は、文字通り、頭部外傷が原因です。

外傷性くも膜下だけであれば、運動麻痺や言語障害などが
みられることは少なく、頭痛が主症状となります。

多くの場合は、自然に止血・吸収されるため手術は行われません。

慢性硬膜下血腫

他の外傷急性期の経過と異なり、脳と硬膜との間にゆっくりと
液体状の血腫がたまる病気です。

典型的には、転倒などで軽度の頭部打撲をされ、その直後には
大きな問題はないものの、2週間~3か月ほど後に、
頭痛や悪心、認知症(の出現や進行)、片麻痺(ときに両側の麻痺)や
これに伴う歩行障害などが明らかとなり、診断に至ります。

症状が出たときにはかなりの血腫が溜まっていることが多いです。

頭蓋骨に小さい穴を開けて血腫を出す手術で治療できます。

頭蓋骨骨折

頭蓋骨線状骨折

頭蓋骨線状骨折とは、頭蓋骨に線状のひびが入った骨折のことです。

後ろにこけたときに後頭部にできるのを多く見かけるほか、
側頭部や前頭部にもしばしば認めます。

骨折しても通常、骨と骨の面がずれることは稀なので、
保存的治療(経過観察)のみで対応することが多いです。

頭蓋骨陥没骨折

頭蓋骨陥没骨折とは、頭蓋骨が外からの衝撃によって
内側にへこんだ骨折です。

陥没が小さければ保存的に治療することもあります。

脳を圧迫したり、損傷する可能性があるため、注意が必要です。

頭蓋骨陥没骨折は、脳挫傷や急性硬膜外血腫、硬膜下血腫などの
合併症を引き起こす可能性があります。

頭を打ったときの、応急処置について知っておきましょう!

まずは、頭部の傷や腫れの有無、意識の確認を行います。

意識を確認するときは、強く揺さぶったりせずに、名前を呼ぶまたは
肩をたたくという方法を使いましょう。

また、高所からの転落や大きな交通事故など、強いエネルギーが加わった場合は、
首の骨が折れている可能性や、頸椎損傷が悪化す可能性があることから
首は動かさないようにしましょう。

出血している場合は、清潔なハンカチやタオルを傷口にあてて、強めに圧迫します。

頭部は小さな傷でも、出血が多くなることがありますが、
慌てずに対処できるようにしましょう。

病院を受診するタイミングっていつ?

  • 頭部に傷を負って出血している
  • 激しい頭痛
  • 吐き気または吐いてしまう
  • 元気がない、眠ってしまう
  • めまい、ふらつき
  • 手足のしびれ、麻痺
  • ろれつが回らない

このような症状がみられる場合には、すぐに脳神経外科を受診しましょう。

場合によっては、救急車を呼ぶ必要があるかもしれません。

判断が難しく、迷ったときは「#7119」にお電話を!

頭をぶつけたときは、おひさま脳神経外科・歯科へ!

頭をぶつけたときに、命を守るため、障害を残さないために重要となるのが、
早期に正確な診断をすることです。

当院には、CT・MRIも完備されており、早期の診断を行えます。

また症状は、すぐに現れるとは限りません。

そして、必ずしも強い症状であるとは限りません。

そのため、外傷直後に受診するのが理想ですが、先程も上記で説明したような
いつもと違う症状がみられたら、できるだけ早くご相談ください。

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参考文献:

・HP:社会福祉法人,恩賜財団 済生会 12月27日時点

・Neuroinfo Japan 脳神経外科疾患情報ページ https://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/304.html

・頭部外傷の病態と治療,横堀 將司・横田 裕行,日医大医会誌,15(2),2019